インフラ構造物の“全自動3Dモデル化技術“確立へ、国交省補助事業に採択 維持管理を効率化目指すデジタルツイン

DataLabs(データラボ)は、コア技術である点群データの自動モデリング技術を活用し、インフラ構造物の維持管理で全自動3Dモデル化の社会実装に乗り出した。2027年度までに3Dモデルの標準化を整備するとともに、3D化システムの外販も視野に入れる。

» 2024年01月17日 12時00分 公開
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 DataLabs(データラボ)は2024年1月12日、国土交通省の補助事業の採択を受け、コア技術である点群データの自動モデリング技術を用いた、インフラ構造物の維持管理における3Dモデルの社会実装、標準化を進めると発表した。大阪大学とコンソーシアムを組成し、維持管理のスタンダードとなるモデルを整備するとともに、社会実装を通して大幅な生産性の向上を図る。2027年度中をめどに、マニュアルを整備し、製品版のリリースを目指す。

取り組みのイメージ 取り組みのイメージ 出典:DataLabsプレスリリース

維持管理の実務運用を想定した要件定義と標準モデルを確立へ

 この取り組みは、国土交通省の2022年度第二次補正予算「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金事業)」において「デジタルツインを活用した公共構造物(道路/河川)の維持管理手法の技術開発/実証」の採択を受けて実施する。

 国内ではインフラ構造物の老朽化が進んでいる。一方で、維持管理には膨大な書類や設計図、写真のやりとりや、現地訪問による状態確認、情報管理が行われており、3Dモデルを介した情報管理/共有による効率化が求められている。

 今回の事業では、全自動で3Dモデルを生成するだけでなく、構造物の維持管理の実務運用を想定した要件定義と標準モデルの確立を、(1)維持管理に活用できる3Dモデルの要件定義、(2)点群から全自動で3Dモデルを生成する技術の確立、(3)製品版のリリースの3ステップで進める。

 3Dモデルの要件定義では、構造物(道路/河川)ごとに付与すべき属性情報を定義し、 IFC形式でモデル化することで、維持管理業務に適応できるかを検証する。汎用性を担保するため、BIM/CIMに関係する要領や民間インフラ運営会社の仕様などを踏まえ、各構造物の所管部署や土木研究所の協力も得ながら設定する。また、インフラを維持管理する上で求められるモデルの精度や、前後の工程を考慮した要件定義を行う。

 全自動3Dモデル化技術の確立については、DataLabsの技術は現時点でも、精緻なメッシュモデルを全自動で作成できるので、今後はエッジのある完全面体のソリッドモデル作成に必要な要素技術を2024年度までに確立させる。要件定義の工程と併せて性能検証、改良を加え、インフラ構造物の点群取得から全自動モデル化、属性情報の付与まで可能な技術、システムを確立する。

 さらに、インフラ維持管理実務のプレーヤーも巻き込んだ業務フローやマニュアルの整備を検討し、モデル化に向けた精度の向上やシステム実装を進める。 2027年度中には国/自治体/民間が標準的に扱えるマニュアルとして「デジタルツインを用いたインフラ維持管理の実施要領(案)」を策定し、製品版のシステムをリリースする。

老朽インフラの保全は世界的な課題に

 建設サイクルのうち、調査/設計ではBIM/CIMの活用が進んでいるものの、実際の工事や既設構造物の維持管理では3Dモデルによる生産性の向上は進んでいないのが実情だという。その背景には、維持管理フェーズを念頭においた3Dモデルの活用方法が標準化されていないこと、現況の構造物を3Dモデル化することに膨大な時間と費用を要することなどがある。

 日本以外の先進諸国やASEAN諸国などでも、老朽インフラの保全や、建設コスト増加への対応は課題となっている。DataLabsでは、海外での活用事例を踏まえた要件定義を行ったうえで、デジタルツインを活用したインフラ維持管理を海外市場にも展開していくことを想定している。

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