戸田建設が測量機器の盛替え不要の自動連続測量システムを開発：導入事例

戸田建設は、ステレオカメラを用いた新たな自動測量技術「MWMSマームシステム（Measuring Worm Method system）」を開発した。

[BUILT]

　戸田建設は、きんそくとともに、シールドトンネル工事における測量管理の効率化や施工精度の向上を目的に、ステレオカメラを用いた新たな自動測量技術「MWMSマームシステム（Measuring Worm Method system）」を開発したと2023年5月16日に公表した。

測量機器の盛替え不要の自動連続測量システムを開発

　MWMSシステムは、固定したステレオカメラを用いてしたシールド機内の画像を解析することで、掘進中も連続してシールド機の位置（平面・垂直座標）と姿勢（水平向き、傾き）を把握できる測量技術。測量作業の省力化と、既往の自動測量技術では適用が難しかった比較的小さいシールドトンネルへの適用を可能とした。

MWMSシステムの概要（左：機内計測イメージ、右：シールド機の位置と姿勢の情報）　出典：戸田建設プレスリリース

　従来、シールド工事で自動測量を行う場合は、坑内に自動追尾型の測量機器（トータルステーション）を設置し、後方の基準点とシールド機内の少なくとも2点のターゲットを見て測量していた。しかし、掘進が進んで距離が離れ過ぎた場合や曲線部を施工した際には、測量機器でターゲットを視準できなくなると、その度に測量機器を盛り替える手間が生じることが課題となっていた。また、比較的トンネル断面が小さい場合では、走行台車との接触や視準時の障害などが生じるため、測量機器の配置自体が難しく、自動測量技術の適用が困難だった。

　MWMSシステムではステレオカメラを用いて、シールドジャッキの端部とシールド機本体に設置された複数個のマーカーを自動で撮影し、画像解析によりシールド機の位置座標と姿勢を測量する。ステレオカメラをシールド機後方の追随する設備に固定することで、前述した既往の自動測量技術の課題を解決した。掘進やセグメント組立の作業中に、尺取り虫のように伸縮を繰返すシールドジャッキの動きに合わせて、基準点を入れ替え、前後のマーカーを捉え続ける。

MWMSシステムの測量手順　出典：戸田建設プレスリリース

　システムの実用性を検証するため、シールドトンネル工事現場で実証実験を行い、その結果、シールド機の外径が3メートルのトンネルでも問題なく測量した。また、目標としていた誤差範囲内の精度（掘進1メートルあたり4.0ミリ以内）を出し、システムの実用可能性を確認することができたという。

　今後の展開として、開発技術であるAI Transform Shieldとシステムを連携させ、高精度な掘進管理技術を確立していくとしている。