UR都市機構は、発注者と設計者の双方が円滑に設計BIMを進めることを目的に、集合住宅では初となる設計BIMガイドラインを公開した。
都市再生機構(以下、UR都市機構)は、集合住宅では初となる設計BIMガイドラインとBIMデータ類をWebサイトで無料公開した。
策定したガイドラインは、設計者が「BIMを使う」ための手引書ではなく、発注者と設計者の双方が円滑に設計BIMを進める目的で、ワークフローを改善するための指針で、データ類については、設計BIMで使用する業務委託契約書のひな型やサンプルデータとなる。
設計BIMでは、作成するBIMデータの詳細度によって業務の質や量、作業時間が大きく異なり、成果物の内容も、BIMデータから作成されるものか、2DCADなど他のソフトウェアで作成されるものかによって、業務量が変わってくる。
そのため、業務発注に当たっては、あらかじめ上記の事項を取り決めておく必要がある。ガイドラインでは、設計BIM遂行上欠かせない決め事をEIR(BIM業務仕様書)、BEP(BIM実行計画書)として整理し、業務委託契約書を構成する添付文書の1つにまとめた。
また、設計事務所で作成方法が違う、建築モデルの情報、意匠躯体モデルの構造躯体寸法、設備情報などを統合した「住戸設計総合図」の標準化も図るべく、UR賃貸住宅を標準としたモデルデータもWebサイト上で提供する。標準となる住戸モデルは、住戸部分に特化したBIMモデルを企画から基本設計、実施設計まで、(S0〜S4)の各ステージで分類して作成されている。
各モデルには、寸法を変更しやすいように参照線を仕込んでおり、躯体寸法に合わせた微調整やメニュープラン作成の迅速化が見込める。デザインや導入設備の検討を容易にするため、意匠標準住戸モデルとともに設備標準住戸モデルも備わっている。こうしたモデルを活用することで、各ステージでの図面作成業務を無駄なく早く実行することが可能になるという。
さらに、耐震壁付ラーメン構造による板状集合住宅についても、標準的な躯体モデルを用意している。構造の仮定断面算定時点で、断面情報を集計表に入れ込めば、すぐに情報をモデルに反映することができる。
なお、UR都市機構では、Revit版UR標準のBIM集合住宅サンプルモデルを2023年6月上旬、ガイドラインQ&Aは同年6月末の公開を予定している。
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