清水建設は、日本シーカとともに、コンクリート工事の働き方改革に資する打継ぎ面処理剤「ルガゾール-919UR」を開発した。ちなみに、ルガゾール-919URの製造と販売は日本シーカが手掛け、2022年10月から1缶(18キロ)あたり2万9000円で一般販売を開始した。
清水建設は、日本シーカとともに、コンクリート工事の働き方改革に資する打継ぎ面処理剤「ルガゾール-919UR」を開発したことを2022年12月1日に発表した。
打設直後のコンクリート表層部には、余剰水とともに不純物が浮上し、レイタンスと呼称される1〜2ミリ程度の薄い脆弱層が形成される。レイタンスが打継ぎ面に残存するとコンクリートの品質低下を招くため、打継ぎ前にレイタンスを除去しておく必要がある。
レイタンスの除去作業は打継ぎ処理と呼称され、通常は、打設後のコンクリート表層部に凝結遅延剤を散布し、レイタンスが硬化する前に高圧水などを用いて取り除く。
解決策として、清水建設と日本シーカは「ルガゾール-919」を2020年に開発した。ルガゾール-919は、アルカリ増粘剤を含有した凝結遅延剤で、コンクリートのアルカリ成分に触れると粘性を増す特性がある。
このため、コンクリートの打設直後に散布しても成分が希釈・流出せず、余剰水の収束を待たずに使える他、特定の噴霧器を使用すれば泡状にして散布するため、散布状況の視認性が高まり、経験の浅い作業員でもムラなく利用できる。
しかし、ルガゾール-919における凝結遅延効果は、持続時間が24時間にとどまり、休前日にコンクリートを打設して処理剤を散布した際に、打継ぎ処理を休日に行わなければ、レイタンスが硬化してしまうことになる。
なお、建設現場の週休2日推進は、建設産業全体の問題となっており、処理剤の凝結遅延効果が72時間持続すれば、金曜日に打設したコンクリートのレイタンスを、土日を挟んだ月曜日に円滑に除去可能。
そこで、両社はルガゾール-919URを開発した。ルガゾール-919URは、ルガゾール-919の凝結遅延成分(オキシカルボン塩酸)に、セメントへの吸着力と浸透力が異なる複数の配合成分をバランスよく付加することで遅延性能の大幅な向上を実現した。
具体的には、ルガゾール-919URは、コンクリート打継ぎ処理の効率化を目的に両社が2020年に共同開発した増粘型の凝結遅延剤ルガゾール-919に従前比3倍の凝結遅延性能を付与したもので、打継ぎ面に形成される脆弱層(レイタンス)の凝結を72時間にわたり抑制する。
これにより、従来はコンクリート打設の翌日に行う必要があったレイタンスの除去作業を3日後までに行えば完了し、土日閉所の建設現場で金曜日にコンクリートを打設した場合でも、休日を挟んでの打継ぎ処理に応じる。
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