3D Printing Corporationは、ペレット方式(FGF)、クレーン、コンクリートといった人手不足の解消や材料費の削減につながるタイプの異なる建設向け3Dプリンタの取り扱いを開始した。
3D Printing Corporationは2023年4月19日、イタリアの3DプリンタメーカーWASPが開発したペレット方式(FGF)3Dプリンタ「4070 HDP」「3MT HDP」、クレーン3Dプリンタ「Crane WASP」、コンクリート3Dプリンタ「Delta WASP 3MT CONCRETE」の販売開始を発表した。
3Dプリンタは試作や部品の造形など、多様な用途で活用されているが、近年はアートや建築領域での利用も始まっている。また、SDGsに向けた取り組みの一環で、マテリアルのリサイクルを試みる企業が増えており、その中でサステナブルな製品の開発や研究、材料開発、アート、家具などの製造が簡単に行えるペレット方式3Dプリンタが、注目を集めている。
他にも、コンクリートやセメントを使用したり、大型クレーンでの造形が可能となったことで、土木や建築の現場でも3Dプリンタを適用することが出始めている。こうした3Dプリンタを用い、多くの企業が、人手不足の解消や属人的だった工程のDX化による時間短縮、材料費の削減などの課題解決に取り組んでいる。こうした状況に対応すべく、3D Printing Corporationは、ペレット方式とクレーン、コンクリートといったWASP製3Dプリンタシリーズ4種類の国内での取り扱いを開始する。
このうち、4070 HDPと3MT HDPは、PLAやABSのペレットで直接3Dプリントが可能な3Dプリンタ。PLA(ポリ乳酸)やABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン)、PP(ポリプロピレン)はもちろん、食品パッケージのリサイクル素材や海洋プラスチックごみ、漁網などからリサイクル製品を造形した実績がある。2050年には、魚よりも海洋プラスチックごみが増えるといわれている昨今、海外では靴や家具、衣類、クレジットカードなどに海洋プラスチックを活用したものづくりが進んでいる。
既に日本でも海洋プラスチックごみを再利用した買い物かごや文房具など、リサイクル製品が開発されており、マテリアルリサイクルやSDGsに貢献する。ペレットから直接造形できる利点もあり、複数の素材をかけあわせた研究や材料開発も得意としている。
スペックとしては、造形エリアは4070 HDPが400(直径)x600(高さ)ミリ、3MT HDPが1000(直径)x1000(高さ)ミリ。プリント速度は4070 HDPが毎秒150ミリで、3MT HDPが毎秒100ミリ。ネットワークに接続するため、携帯電話やPCで管理可能で、プリンタ内部のカメラで離れた場所からでもプリント状況を確認できる。
Crane WASPは、コンクリートやセメント、天然素材を材料とし、住宅や宿泊施設、店舗などの建築物を造形する。6.30(直径)×3(高さ)メートルの単一モジュールを組み合わせ、建築物の形状や目的にあわせて造形面積を拡大できる。プリンタの設置は、技術者2人約3時間で完了する。
Delta WASP 3MT CONCRETEは、コンクリートをはじめとして、磁器やセメントモルタル、粘土、天然繊維、粘土ベースの混合物といった材料を使え、土木や教育、大学、アートの造形などに適する。1×1メートルの広い造形面積で、カーブやくぼみを再現できる高い設計自由度があり、24時間365日の稼働に対応する。
製造元のWASPは、イタリアを拠点としている3Dプリンタメーカー。最近では、ZERO Impact House(ゼロインパクトハウス)と呼ばれる生の土で3Dプリントした建物や、天然素材から3DプリントしたDIORのポップアップストアなどが脚光を浴びている。
販売代理店となる3D Printing Corporationは、神奈川県横浜市鶴見区小野町に本社を置き、金属や樹脂などを合わせて10種類以上の3Dプリンタをとりそろえ、設計・開発から、製造、後加工、品質管理まで一貫したサービスを提供。3Dプリンタ購入後は、1〜2日間のトレーニング、修理、メンテナンスといったサポートも行っている。
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