東急建設は、旭コンクリート工業と共同開発した「PPCa ボックスカルバート」を現場に初めて適用した。PPCa ボックスカルバートは、側壁や頂版を部分的にプレキャスト部材に置き換えた大型ボックスカルバートの構築工法で、施工条件や機械の制約下でも生産性の向上が図れ、現場打ちと同等な構造性能を有する。
東急建設は2023年2月6日、旭コンクリート工業と共同開発した「PPCa(Partial PreCast) ボックスカルバート」を現場に初めて適用したと発表した。
PPCa ボックスカルバートは、側壁や頂版を部分的にプレキャスト部材に置き換えた大型ボックスカルバートの構築工法。これまで運搬車両や揚重機などの制約から、プレキャスト化が難しかった大型ボックスカルバート構築だが、部分的にユニット化したプレキャスト部材のみを工場で製作し、現場でコンクリート打設することで施工機械の制約内で施工できる。
新工法では、ボックスカルバートの側壁や頂版部分となる部材は工場で製作し、側壁部分は軸方向鉄筋や配力鉄筋、幅止め鉄筋を内蔵してユニット化したプレキャスト側壁部材とする。頂版部分は下側軸方向鉄筋や配力鉄筋、幅止め筋、ハンチ筋を組み込む。ユニット化したこうした部材を現場に搬入し、現場打ちした底版上に据付けや組み立てた後、中詰めコンクリートを打設することでボックスカルバートを構築する。
PPCa ボックスカルバートは、2021年6月に先端建設技術・技術審査証明を取得し、今回、R2国道246号渋谷駅周辺地下道工事に適用した。
工事は、「渋谷」駅西口から桜丘方面の歩行者や車両の利便性向上のため、国道246号の直下に地下車路や地下歩道を整備する。このうち、地下車路の約22メートルのボックスカルバートの構築に、PPCa ボックスカルバートを採用した。
また、工事は幹線道路でもある国道246号の直下で行われ、地下空間に土留め支保工が密に配置されているため、国道246号の路下投入口を車線規制が最小となる1カ所に限定。頂版部材を分割し、側壁と同時に横引き台車で横引きし、所定の位置に設置する施工方法とした。
適用した地下工事は、地上部は首都高速3号渋谷線と渋谷駅西口歩道橋が供用されているため、地上/地下ともに狭隘(きょうあい)な空間での施工が必要だった。そこでVRや3Dモデルに時間軸を加えた「4Dシミュレーション」を用い、綿密な施工計画を作成して検討した。その結果、計画通りの2022年12月上旬に、部分プレキャスト部材の据え付けが完了した。
今後は、一部の鉄筋組立や型枠組立を実施し、中詰めコンクリートを打ち込み、ボックスカルバートを構築する。なお、地下歩道の約25メートルのボックスカルバートの施工にも、新工法の導入を計画している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.