新菱冷熱工業、三菱地所設計、芝浦工業大学は、2社と芝浦工業大学秋元孝之研究室が設計や施工、検証に携わった東京都千代田区の「新菱神城ビル」が、空気調和に関する世界最大の国際学会・米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)主催の「2023 ASHRAE Technology Awards」の新築オフィスビル部門で世界最優秀賞を受賞した。ビル全館で新開発したダクトレス空調を採用し、「+1フロア」の増床を実現している。
新菱冷熱工業、三菱地所設計、芝浦工業大学は2023年2月15日、2社と芝浦工業大学秋元孝之研究室が設計や施工、検証に携わった東京都千代田区の「新菱神城ビル」が、空気調和に関する国際学会の米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)主催「2023 ASHRAE Technology Awards」の新築オフィスビル部門で世界最優秀賞を受賞したと発表した。受賞発表日は米国時間2023年2月4日。
ASHRAE(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers)は、132カ国、5万人以上の会員を擁する空気調和に関する世界最大の国際的学会。1894年に創設され、本部を米国アトランタに置いている。
ASHRAE Technology Awardsは1999年から毎年開催しており、地域規模に応じて3段階の審査が行われる。省エネや快適性、ユーザーの健康などを兼ね備えた革新的な環境建築に対する世界最大規模の技術賞として知られる。審査には実運用データによる裏付けが要求され、建築、設備関係者から高い信頼を集めている。
2020年6月に竣工した中規模オフィスビルの新菱神城ビルは、全館で新開発したダクトレス空調を採用し、「+1フロア」の増床を実現した。このダクトレス空調は、従来の方式をベースとしつつ、省エネルギー性能を大幅に改善。この他にもビルでは新開発の設備技術を多数導入しており、多くは3者の共同研究による長年の実証実験などにより、より高水準の技術として確立した。こうした研究や開発プロセスも、関連学術団体から高い評価を得た。
ビルは2022年7月の「ASHRAE Technology Awards」日本支部選考にて、最優秀技術賞を受賞。同年8月にはRegion X III、いわゆるアジア地域選考でも最優秀技術賞を受賞している。そして今回は、世界15地域から選抜された建築環境技術作品を対象とした最終選考にて、「世界最優秀賞」を受賞したことにより、ビルの建築での省エネルギー化など、建築環境技術が世界最高水準にあることが示されたとしている。
また、ビルでは運用開始後も詳細な性能検証をもとに、一層の省エネルギー化を目指すことを目標として、表計算ソフトExcelと連携した熱源制御の開発に取り組むなど、導入技術の応用開発を継続して実施している。今回、実証したさまざまな技術は、設計や施工に広く展開していくという。
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