新菱冷熱工業は、半導体・液晶工場などの製造環境向けに、「電解水エアワッシャーシステム」を開発を発表した。外調機に設置するケミカルフィルタが不要で、酸性ガスの高い除去性能を実現する。
新菱冷熱工業は2020年1月9日、半導体・液晶工場などの製造環境向けに、「電解水エアワッシャーシステム」を開発したと発表した。工場内のクリーンルーム用に、外気から粉じんや分子状汚染物質を除去して空気質を調整する一次段階の空調機に実装する。外調機に設置するケミカルフィルタが不要で、酸性ガスの高い除去性能を実現する。
エアワッシャーの吸収液には電解水を用い、同社開発の「プリーツ型メディア」で空気と電解水の接触効率を向上させる仕組みだ。その他、外気中の酸性ガス濃度の変動を検知し、最適な電解水量を供給する制御機構も実装している。
同システムは再熱機構が不要で、制御機構によりシステムの最適な運転を可能にした。その結果、外調機全体の消費エネルギー量を約24%、CO2排出量を15%、ランニングコストを3割削減。また、ケミカルフィルタを用いないため、活性炭の交換・廃棄が不要になり、産業廃棄物をゼロにできるという。
半導体や液晶など精密製品の製造環境では、空気中に含まれる粒子状汚染物質だけでなく、ガス成分(分子状汚染物質)が製品の歩留りに影響を及ぼす。そのため、製造環境では特に、高レベルの清浄環境、温湿度管理のクリーンルームが求められるが、従来型のエアワッシャーは、加湿装置、兼ガス成分の除去装置として外調機に組み込まれるが、除去性能は80〜90%程度にとどまっていた。
しかし近年、外気に含まれる酸性ガスをさらに除去する必要性が高まっており、エアワッシャーとケミカルフィルタの両方を設置するケースが増えている。ところが、ケミカルフィルタには性能やメンテナンスなどに課題があり、新たなシステムの開発が求められていた。
より高性能で、省コストな空調システムのニーズが高まっていることから、同社は今回発表したシステムの国内・海外の製造施設への展開を見込み、システムおよび関連施設を含め、3年間で100億円の売上を目指している。
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