河川インフラの点検作業は、点検しづらい箇所があったり、大雨による増水といった自然環境の変化で、構造物の周囲が大きく変化したりなど、さまざまな困難を抱えている。こうしたなかで、ドローン技術が課題を解消できる手法として注目を集め、各社で開発が盛んに行われている。建設技術展2022近畿のブース取材から、現場のニーズを踏まえ、より利便性の高まる最新ドローンを紹介する。
建設コンサルタントのエイト日本技術開発は、「建設技術展2022近畿」(会期:2022年11月9〜10日、インテックス大阪)で、河川インフラの点検作業を効率化する最新ドローン技術を紹介した。
これまでの河川インフラの点検業務は、職員の目視による点検作業を主としている。インフラ施設は堤防や橋梁(きょうりょう)、水門など多岐にわたるため、人手不足などを要因に十分な点検作業が難しくなっている。そうした課題のソリューションとしてドローンを活用して、業務効率化を図ろうとする動きが活発化し、現場のニーズを汲(く)みとった新製品が次々と登場している。
ドローンを活用して、橋梁などの構造物を点検する場合には、狭い空間や障害物などの操縦が困難な場面がたびたび発生する。近接撮影が難しい橋梁の桁下の点検では、高所作業車が必要となるなど、多大な手間や時間がかかるため、ドローンを導入しても河川管理者が頭を悩める場面は数多い。
こうした問題に対処する製品としてエイト日本技術開発は、障害物にぶつからないドローン「Skydio R2 for Japanese Inapection」を展示した。機体は、ジャパン・インフラ・ウェイマークと米ドローンベンチャーのSkydioが共同開発。Visual SLAM技術によって、構造物をリアルタイムで把握し、画像処理機能で障害物と一定の間隔を確保して飛行中の衝突を自動で回避できる特長を有す。衝突を避ける機能は、非GPS環境下であっても使えるため、環境に左右されずに構造物などの点検業務ができる。搭載カメラは映像を水平に保つ「水平ジンバル機能」を持ち、安定して高画質な映像の出力が可能だ。
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