竹中工務店は、耐火集成木材「燃エンウッド(3時間耐火)」の柱と梁を開発し、「国土交通大臣認定 耐火構造部材(3時間)」を取得した。今後も、耐火木造技術や中高層木造技術を通じて、木造・木質建築の普及と国産木材の活用に取り組むとともに、脱炭素社会の実現に貢献する見通しだ。
竹中工務店は、耐火集成木材「燃エンウッド(3時間耐火)」の柱と梁(はり)を開発し、「国土交通大臣認定 耐火構造部材(3時間)」を取得したことを2022年11月17日に発表した。
同社は、1時間および2時間の燃エンウッドを2011年に開発し、「国土交通大臣認定 耐火構造部材(1時間および2時間)」を取得して、2013年竣工のプロジェクトを始め、これまでに中高層木造ハイブリッドの建築物20件に適用してきた(2022年10月時点でそのうち3件は施工中)。
なお、建物の建築にあたっては、建築基準法で階数ごとの耐火性能が定められており、中高層木造ハイブリッド建築物の場合も同様に、建物の階数に合わせて構造部材に必要とされる耐火性能が異なる。
加えて、1時間耐火の燃エンウッドでは、4階建てもしくは建物の最上層から4層まで、2時間耐火を活用する場合は14階建てあるいは建物の最上階から14層までを木造とすることが可能。
今回、開発した3時間耐火の燃エンウッドは、階数に制限なく建物に木構造を採用することを実現し、これまでの燃エンウッドでは不可能だった15階以上の建物を木造化できる。
3時間耐火の燃エンウッドは、これまでの1時間および2時間耐火の燃エンウッドと同じく、木材を使用した「荷重支持部」や石こう系材料と木から成る「燃え止まり層」、木材の「燃え代層」で構成される耐火構造の木造部材(集成材)で、柱や梁の構造部材として利用される。
ちなみに、耐火性能を確保するために、竹中工務店では、燃え止まり層向けに、集成材と石こう系材料を組み合わせた断面構成を開発・実用化した。
具体的には、最外層の燃え代層がゆっくり燃えて熱の侵入を抑制し、第2の燃え止まり層で活用した石こう系材料が熱を吸収して、荷重支持部が燃焼・炭化温度の260度を超えない状況を作り出すことで、耐火性能を確保している。
竹中工務店では、木製の部材で耐火構造部材の大臣認定を取得するために、公的試験所で性能評価試験に合格する必要性を踏まえて、3時間耐火燃エンウッドの耐火試験を行った。ちなみに、耐火試験では、24時間以内に部材の耐火被覆層が自ら燃焼を完全に停止することや構造体の荷重支持部が損傷せず未炭化であることが合格の条件となる。
3時間耐火燃エンウッドの耐火試験では、耐火試験炉で荷重支持部に載荷をした状態で、3時間耐火燃エンウッドを3時間加熱し、終了後、耐火試験炉内で放冷した。
また、耐火試験炉の内部を1110度まで上昇し、木材が燃えて炭化する温度260度を大幅に超える状態で耐火性能を確保することが求められるが、3時間耐火燃エンウッドで基準をクリアし、RC造やS造の耐火部材と同等の耐火性能を持つことが証明された。
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