メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2022

360度カメラで現場を撮影するだけ、VRを活用した技術継承システム作成ソフトメンテナンス・レジリエンス TOKYO 2022(1/2 ページ)

建築や製造の現場では、熟練技術者が行う作業のポイントを他の作業者に伝えるのが難しい。そのため、熟練者が長い時間と試行錯誤の末に習得した“暗黙知”の技術が後進と共有できず、技術継承ができないという課題がある。

» 2022年11月04日 06時17分 公開
[川本鉄馬BUILT]

 ビジネスエンジニアリングは、メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2022の「第8回 東京 猛暑対策展」(会期:2022年7月20〜22日、東京ビッグサイト)で、VRを使った教育システムを作れるソフト「mcframe MOTION VR-learning」を展示した。市販の360度カメラで撮影した現場映像をこのソフトに取り込めば、初めての人にも簡単にVRを利用した教育システムが作れるという。

 VR(仮想現実)の活用は、熟練者が保有する技術の継承法として注目されている手法の1つ。ベテランの技術者/技能者が現場でどのような操作をしているか、そのポイントをVRでデータ化できれば、社内での技術共有や後進の教育に役立つ。

没入感あるVRの教育環境を手軽に作成可能

 ビジネスエンジニアリングが展示した「mcframe MOTION VR-learning」(以下、VR-learning)は、熟練者のノウハウを効率よく学習することを主眼としたVRの教育システムを作成するためのソフト。

 VR環境を使った教育は、受講者が仮想環境の中に入ったような感覚で学習ができる。このため、一般的な座学に比べて受講者の集中力を引き出しやすく、学習の効果も高いとされている。

 しかし、VRを使った教育ソフトは構築に知識が必要で、教材の作成にも手間が掛かる。加えて、学習の成果を測定しにくかった。ビジネスエンジニアリングのVR-learningは、こうした課題に対し、VRを使った教育システムを簡単に作れるソフトウェアとしてリリースした。

ビジネスエンジニアリングのブース全景

 VR-learningでは、周囲360度の撮影ができる市販のカメラを使い、学習に使う現場を撮影するだけで教育システム作成の準備が整う。撮影は、動画/静止画のどちらでも良い。その後、撮影したデータをVR-learningに取り込み、熟練者が確認すべき箇所の指定や操作に対する補足説明などを入力する。これだけでVRの教育システムが出来上がる。

 “VRの教育システム”というと作成に高度な知識が必要なイメージがある。しかし、VR-learningでは360度カメラで現場を撮影してしまえば、その後の作業はとても簡単だ。今回のブース展示で来場者の対応にあたった説明員は、VR-learningにデータを取り込んだ後の作業を「パワーポイントが使える人だったら誰にでもできる」と説明する。

 VR-learningでの操作は、説明文を打ち込んだり、受講者が確認すべきポイントを指定したりといった作業が中心となる。操作自体は、パワーポイントでのスライド作成作業と大きな違いはない。説明員の「パワーポイントが使える人だったら〜」という言葉は、VR-learningによるVR教材の作成難易度をリアルに説明しているといえる。

市販の360度カメラで現場を撮影。VR-learning上にデータを取り込んで、確認すべきポイントやコメントを入力するだけでVRの教材が作れる
学習時のイメージ。確認すべきポイントを四角で囲み表示。操作の注意点やコメントも入力できる
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