Boxに実装された新機能のうち、「Box Canvas(ボックスキャンバス)」は、クラウド上に用意された仮想ホワイトボード。ミーティングの参加者は、Box Canvas上に図版や手書きのメモなどを自由に貼り付け、リアルで会って相談や打ち合わせをしているのと同じようなコミュニケーション環境をクラウド上で実現できる。提供は、2022年秋を予定している。
また、「Box Sign(ボックスサイン)」という電子署名をクラウドに搭載した機能は、日本ユーザーの要望を本社に反映して実装されたとのことで、既に2021年11月から日本国内でサービスがスタートしている。法人向け(Business以上)のユーザーであれば追加料金なしで、法的に有効な電子署名がハンコの代わりに実現するのが特長だ。
今回の新たなサービスや機能は、Boxの戦略的な方向性を示すアップデートとなった。レヴィ氏は、「今後もノベーションにおいて投資して力を入れることによって、世界中の多くの人たちが、簡単に、一緒に働くことができる」とし、「重要なコンテンツを使って、有効に協業できる世界を実現していきたい」と抱負を語った。
レヴィ氏に代わって登壇したBox Japan 代表取締役社長の古市克典氏は、国内でのFY22期(2021年2月1日〜2022年1月31日)の振り返りとFY23期以降の計画を示した。
古市氏が告げたのは、コロナのまん延やロシアのウクライナ侵攻という不安定な世界状況にもかかわらず、Box Japanの業績は「安定して絶好調」(古市氏)にある。Box JapanのARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)は、2013年のBox Japan創業以来、8年連続で成長。解約する顧客がほとんどなく、新規の受注高が翌年の売上にそのまま追加されているためだ。また、FY21〜22では、58%のプラスとなり、それ以前の、年間10〜30%の増加率に対して、市場への受け入れ方が明らかに変化したことを表している。
古市氏は、市場の構成をイノベーター(革新者)、アーリーアダプター(初期採用者)、アーリーマジョリティー(前期追随者)、レイトマジョリティー(後期追随者)、ラガード(遅滞者)の5つに分類したとき、アーリーアダプターとアーリーマジョリティーの間にある“壁・溝”=キャズムを超えるのはまだまだと思っていたが、どうやら少し超え始めたとの認識を口にした。
日本では、日本郵政、文部科学省といった企業や官公庁でも、Boxが採用されている。その数は増え続け、2021年5月28日の時点で約9000社だった顧客が現時点では22%増加し、約1万1000社となっている。
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