戸田建設は、富士通やきんそくとともに、地中埋設管の破損事故を未然に防ぐための埋設探査で、AIモデルを用いて埋設管を効率的に検出する埋設探査システムのプロトタイプシステムを開発した。さらに、2021年6〜11月にかけて試験運用によりシステムの有効性を確認し、2022年4月より実用化に向けたシステムの構築を開始した。
戸田建設は、富士通やきんそくとともに、地中埋設管の破損事故を未然に防ぐための埋設探査で、AIモデルを用いて埋設管を効率的に検出する埋設探査システムのプロトタイプシステムを開発したことを2022年5月23日に発表した。
日建連などの調査によれば、建設現場では工事前における埋設管位置の確認不足や図面・台帳といった施工記録の不整合などで、年間約150件の埋設管損傷事故が発生している。こういった損傷事故を未然に防止するために埋設管の事前調査が行われており、代表的な調査方法の1つに地中レーダー探査装置による計測方法がある。
地中レーダー探査装置は、地中に照射したレーダー反射の変化で現れる双曲線の波形画像から埋設管位置を推定する。しかし、地中レーダー探査装置で現地計測を行った後に取得される多くの波形画像データを基に、専門技術者が目視により埋設管位置を判定しているため、解析業務の負荷低減や技術者不足の解消など、客観性の担保と信頼性向上などが課題となっている。
そこで、戸田建設は、今回のシステムを開発した。システムは、断面図に現れる地中レーダーの波形を、富士通のAI技術により解析し、その連続状態から平面だけでなく深度方向も含めて埋設管の位置を推定する。さらに、埋設管位置の推定に対する信頼度を存在確率として0〜100%の範囲で利用者に示せ、2D/3Dモデルでの出力が可能。
具体的には、専門技術者の目視判定結果と比較して、同精度で検出でき、多くのデータに対する目視による見落としを防げ、AIによる検出結果の信頼性向上を図れ、戸田建設が実験フィールドで検証した結果、システムでの再現率は80%以上で、局所的に専門技術者の解析結果を上回ることを確認した。
加えて、波形パターンの違いをAIで解析し、金属・非金属の判別と管内における水の有無をAIで判別する他、専門技術者が目視判定する場合と比較して、波形画像の解析に関連する所要時間を75%以上減らせる。
また、地上から見た平面図や各断面図の表示、埋設管の存在確率と深度によるフィルタリング表示など、利用者が求める情報を分かりやすく可視化するだけでなく、埋設管位置の検出結果を2D/3Dモデルで自動作成するため、図面作成で求められる工数を省力化し関係者へ速やかな情報共有を実現する。
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