自動配送ロボやドローン、音楽を用いた4つの5G事業を採択、サムライインキュベート5G(4/5 ページ)

» 2022年04月01日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

ドローンで撮影した高画質の画像を伝送する5G技術を開発

サイトセンシング 代表取締役社長 平林隆氏

 サイトセンシングのアイデアは、「ドローンの自動飛行/撮影による被災状況リアルタイム把握」で、街中実装パートナーの東京都立大学が採択した。サイトセンシングの平林氏は、「当社のアイデアは、自動飛行機能を備えたドローンによる撮影で、被災地の初期対応をサポートするだけでなく、構造物の状況を撮り、その画像をインフラメンテナンスに活用し、災害時によるダメージを軽減する」と説明した。

 加えて、「利用するドローンは、非GPS環境下で自動航行するため、オペレーターは不要だ。自動航行は、SLAMレスで、電力消費を抑えながら高速移動するため、広範囲な状況把握に応じる。ドローンに搭載された4Kもしくは8Kカメラで撮られた映像は、5G通信網を利用し、崩れた土砂量の推計システムや避難した人数を数えるソリューションなどと連携して、さまざまなサービスの提供を実現する」と述べた。

「ドローンの自動飛行/撮影による被災状況リアルタイム把握」のコンセプト

 実証では、東京都日野市の東京都立大学 日野キャンパスで、2022年4〜8月に、小型プロトドローン用の専用装着装置や自律航法、画像伝送用の5G技術を開発し、2022年9月〜2023年5月に大型ドローン用の専用装着装置や自律航法、画像伝送用の5G技術を開発する。2023年6月〜2024年3月には、両ドローンで、高速自動飛行や画像の閲覧画面とリアルタイムサービスの開発を達成する見通しだ。

「ドローンの自動飛行/撮影による被災状況リアルタイム把握」のスケジュール

5Gで導入費用を2000万円から400万円に

 シナスタジアのアイデアは、「Ride Vision」で、京浜急行電鉄が採択した。Ride Visionは、バスなどに乗車する乗客がヘッドマウントディスプレイを装着し、乗り物が走行するエリアに合わせて、さまざまなVRを楽しめるサービスで、既に京急電鉄が展開する京浜急行バスのイベント「XRバス」で採用された実績がある。このイベントは、京浜急行電鉄「横浜」駅前で運行する京浜急行バスで実施され、利用料が4000円だったが完売したという。

「Ride Vision」のイメージ
シナスタジア 代表取締役社長 有年亮介氏

 シナスタジアの有年亮介氏は、「Ride Visionは、当社が開発したセンシング技術を用いて、周囲の建物と環境をセンシングし、ヘッドマウントディスプレイ内でVRを建物の後ろに表示することを可能にしているため、さまざまな映像体験を楽しめる。しかし、Ride Visionの導入費用は乗り物1台あたり約2000万と高額でさまざまな企業が使用しにくかった。そこで、GO BEYOND DIMENSIONS TOKYOでは、5G技術により、クラウドでの映像処理と転送された映像をヘッドマウントディスプレイで見られる仕組みを作り、乗り物1台あたりのRide Vision導入コストを400万円に抑えるだけでなく、スマートフォンを用いて場所を選ばずXRを使えるようにする」と明かした。

5G技術を用いた「Ride Vision」のイメージ

 Ride Visionの実証では、2022年度にXRバスで使用したコンテンツの専用クラウド実装と5G通信によるクラウドレンダリング試験を行い、2023年度には横浜駅前で運行する京浜急行バスで実施されるXRバスで導入する見込みだ。

5G技術を用いた「Ride Vision」の実証スケジュール
京浜急行電鉄 広報・マーケティング室 主査 羽根一貴氏

 京浜急行電鉄の羽根氏は、「XRバスは、1台のオープンバスを使用したイベントだったが、Ride Visionの導入コストが下がれば、他のバスやタクシーでも扱っていきたい」と期待を寄せた。

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