竹中工務店は、免震建物を総合的にモニタリングし、地震後だけでなく、平時における建物の安全度を確かめられる防災ツール「免震総合モニタリングシステム」を開発した。免震総合モニタリングシステムは、建物の新築時や使用中の建物にも導入できる。今後は、免震建物を採用する顧客や防災対策のニーズを持つ顧客に免震総合モニタリングシステムを幅広く訴求していく。
竹中工務店は、免震建物を総合的にモニタリングし、平時と地震後の建物における安全度を調べられる防災ツール「免震総合モニタリングシステム」を開発したことを2022年1月13日に発表した。
昨今、国内では、建物内に設置した加速度センサーによるモニタリングで、地震発生時に建物各階の健全度を推定する「健全度推定支援システム(被災度判定支援システム)」が普及しつつある他、帰宅困難者対策としても活用されている。
並行して、地震時に建物の揺れを減らす免震建物の採用も増加している。例えば、病院や庁舎といった重要な施設だけでなく、研究所や製造施設など幅広い用途のBCP対策として導入が進んでいる。
免震建物では、日常時における免震装置の維持管理と点検が求められる。加えて、地震後には、免震層がどのくらい動いたか、どのような動き方をしたのかという点検情報が、次の地震に備えるための大切な指標となる。
こういった状況を踏まえて、竹中工務店は免震用のシステム「免震装置変形遠隔監視」と「免震層モニタリング」を開発。両システムの機能を統合して、販売とメンテナンス体制を整えた後、免震総合モニタリングシステムを開発した。
免震総合モニタリングシステムは、地震後、すぐに建物における健全度の目安が把握できる機能「建物健全度推定支援」や日常の維持管理点検に活用する免震装置変形遠隔監視と免震層モニタリング、免震層の状況をチェックする「画像監視」といった機能を搭載している。
建物健全度推定支援と免震層モニタリングは、建物や免震層内の健全度推定結果が分かり、地震後の点検と避難に使える。免震装置変形遠隔監視と画像監視は、免震装置や免震層内環境が正常な状態であることを遠隔地から確かめられる。
さらに、多様な機能が1つのシステムに統合されているため、日常の維持管理、地震後の建物と免震層の健全度をワンクリックで確認できる。これにより、使いやすく、メンテナンス性の良いシステムをローコストで提供することを実現している。
具体的には、免震総合モニタリングシステムを導入したケースでは、上記の各機能を個別に免振建物に導入した場合と比較して、初期設定費(ソフト費含む)を約30%減らせ、メンテナンス費は約40%のコストダウンを図れる。
免震総合モニタリングシステムのデータは、Web上で管理されているため、PCやスマホなどで自由にアクセスして見られ、建築分野の専門知識がなくても、平時や地震後の建物における安全性が分かりやすい仕様となっている。
加えて、ユーザーのニーズに合わせて、システムの機能を追加しカスタマイズでき、免震以外の建物に「建物健全度推定支援」のみを導入することにも対応している。また、システムの円滑な活用を支援する「免震あんしんサポートサービス」も提供するため、安心して使える。
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