2棟の免震建物を接続する新工法、免震建物の増築でも適用可免震

竹中工務店は、実施設計と施工を手掛けた総合病院「国立循環器病研究センター」に、2棟の免震建物をつなぐ、新開発のエキスパンションジョイントを適用した。

» 2019年10月28日 09時00分 公開
[BUILT]

 竹中工務店は、2棟の免震建物の大振幅変位に追随できるエキスパンションジョイントを開発し、大阪府吹田市の「国立循環器病研究センター新築工事」に適用した。

下地材の重量を減少、室内の有効面積も増大

 免震建物は、地震時に大きな変位が生じるため、建物間を接続するエキスパンションジョイントに従来工法を採用した場合は、室内の有効スペースの確保が困難になり、床・壁の下地材断面が増加するため、仕上げコストも大幅に上がることが課題だった。

 竹中工務店は、地震時に2棟間に変位が生じても、2棟の中心に常に部材が維持できる機構「エキスパンションジョイント工法」を開発。新工法では、エキスパンションジョイント部の床・壁を2分割し、支持スパンを2分の1にして、下地材の重量を減少させ、室内空間の有効スペースを最大化させることができる。

新開発のエキスパンションジョイント 出典:竹中工務店 (クリックで拡大)

 機構自体は、仕上げ部材を支持する中心フレーム、それを支える直材フレームと、斜材フレームで構成。直材フレームと斜材フレームに、X方向とY方向にそうれぞれスライドする機構を設けることで、地震時でも、中心フレームは常に2棟の中心を維持する。

 新工法は新築だけではなく、今後増加すると考えられる既存免震建物に免震建物を増築するケースでも適用可能で、多様な免震建物に水平展開することが見込まれる。

国立循環器病研究センター 出典:竹中工務店

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