そもそもブレーカーとは、電気を安全に使うために電気回路で起こる異常事故から電線を守る安全装置として取り付けられる遮断機を指す。住宅向けでは主幹ブレーカーと、台所用コンセントやリビング照明などに接続する分岐ブレーカーから成る。
感震ブレーカーは分岐ブレーカーの1ユニットとして設置し、震度5以上の揺れや傾きを加速度センサーで感知するとブザー音で警告を発し、主幹漏電ブレーカーに信号を送り、強制的に電力供給をOFFにする仕組み。
パナソニック製品の独自機能としては、地震が夜間に起きても、ブレーカーをOFFにするまで、あえて3分間のタイムラグを設け、避難用の照明電力を確保。真っ暗闇で玄関がどこかわかないといったトラブルが生じない仕掛けが施されている。
また、地震発生と同時、または主幹ブレーカ―を遮断する3分未満で停電となった場合は、通常であればブレーカーがONのままのため、電気復旧時に室名が危険な状態に晒(さら)されるが、電気が復旧したときに2秒以内で主幹ブレーカーをOFFに切り替えて火災を回避する。
他社製品との差別化ポイントでは、内部コンデンサーの寿命に合わせて設置後10年でブザーによって交換時期を知らせるほか、交換時には出力線の接続コネクターでつなぐだけの通線・幹線工事不要の省施工、施行中の誤作動を防止するブレーカー本体の電源スイッチ、オプションの「お知らせユニット」で音声での報知などがある。
ラインアップは、2000年以前のパナソニック製分電盤に対応し、感震と漏電を一体化した主幹ブレーカーのみの交換で済む感震機能付き漏電ブレーカー「AB-60J型」、住宅分電盤「コンパクト21シリーズ」の分岐ブレーカーに空きスペースがあれば組み込めるコンパクト型の感震ブレーカー「BQX702」、使用している分電盤はそのままで後付けできる感震リニューアルボックス「30A用BQE3252Z」。分電盤タイプでは、標準で感震ブレーカー搭載の「地震あんしんばん」と感震に加え避雷器も備わった「地震かみなりあんしんばん」を用意している。
感震ブレーカー搭載住宅分電盤の採用事例では、1996年に建設された免震構造の無い大阪のマンションで、電力小売業も手掛けるソリューション会社との協力関係により、全戸に24台を2021年3月に納入。名古屋の集合住宅では、市の補助金制度を活用して、工事店から管理会社への積極提案が功を奏し、2021年6月に全戸に97台を設置した。
また、大阪の住宅会社リブ・ホームのケースでは、阪神・淡路大震災や東日本大震災で通電火災の怖さを目の当たりにして、防災意識が高まり、大阪府茨木市の分譲地「クッキータウン三島丘」での全戸137戸への採用が決定。その後、2018年6月の大阪府北部地震では、感震ブレーカーが正常に作動し、発火を防いだ。リブ・ホームでは、「もし、地震が暖房を多用する冬場に起こってたら大変。99戸無事でも1戸で火事があってはダメ。地震はないほうがいいけれど、今回の地震で、感震ブレーカーの重要性を再認識した」と感想を寄せたという。
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