大林組は、節付き杭工法「ナックル・パイル工法」と「ナックル・ウォール工法」で杭の支持力が170メガニュートンを発揮するナックル・パイルの一般評定を日本建築センターから取得した。新評定を取得したことで、将来建設が想定される500メートル超えの建築物から中高層建築物までを両工法の対象とすることを実現した。
大林組は、節付き杭工法「ナックル・パイル工法」と「ナックル・ウォール工法」で、既評定の適用範囲における上限値を向上し、杭の支持力で170メガニュートン(MN)を発揮するナックル・パイルの一般評定(新評定)を日本建築センターから取得したことを2021年12月23日に公表した。
大林組は、2009年に両工法の一般評定を取得して以降、国内で27件の施工実績を持つ。両工法は、場所打ちコンクリート杭あるいは壁杭に節部を設けて硬質な中間層や支持層の支持能力を有効利用することで、節部がない杭形状より、杭断面スリム化や杭長の短縮、杭の体積の低減を実現している。これにより、建設発生土量の抑制と工期短縮を達成するため、杭工事のコスト削減と環境負荷の軽減に役立つ。
しかし、これまで使用されていたナックル・パイルの支持力は、最大100メMNで、将来予想される高さ500メートル超えのプロジェクトに対応することはできなかった。
そこで、大林組は、既評定の適用範囲のうち「コンクリート強度」「節部の形状寸法比」「節部の支持力度」の3項目を向上し、これらを効果的に組み合わせることで、ナックル・パイルの杭支持力を170MNに高めた。
具体的には、コンクリート強度(Fc)は、設計基準強度の上限値を1平方ミリ当たり60ニュートン(N)から1ミリ当たり100Nに高め、節部形状寸法の拡径比(節部径・軸部径)の上限値を、1.72から2.00に拡大した。さらに、大林組の節部評価法※1(支圧法)を採用することで、砂質土での節部の地盤支持力度が1ミリ当たり6000キロニュートン(KN)から1ミリ当たり7200KNに上がった。
※1 節部評価法:節部の円環状(軸部径を除いたドーナツ状)の水平投影面積部分に支持力度をかける算定式を用いた評価法。拡径比(節部径/軸部径)に応じた低減係数(安全率)を導入している
加えて、同じ杭径と杭長、節部段数の条件で節部の形状を拡大すると、杭1本当たりの支持力が60メガニュートン(MN)から80MNへアップする他、最大軸径3メートルのものを使用し6段の節部配置によって杭の支持力170MNを実現する。
大林組では、新評定を取得した両工法の解析と実大杭による載荷試験を行った。その結果、拡底杭の引き抜き支持力で妥当性を確認した。これにより、塔状比※2(建築物の高さ/幅)が4を超える中高層建築物の地震時に向けた転倒対策として使えることが分かった。
※2 塔状比:建物の高さ方向と幅方向の長さの比率であり、建物がどのくらい細長いかを数値で表したもの。塔状比4以上の建物は塔状建物と呼ばれ、保有水平耐力計算をすることが建築基準法で義務付けられている
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