“2 years of digital transformation in 2 months”「2ヶ月で2年分のデジタル変革が起きた」。2020年4月、Microsoft CEOのサティア・ナデラ氏が発したこの言葉の紹介から、日本マイクロソフト コーポレートソリューション事業本部 第一インテリジェントクラウド営業本部 本部長 小杉靖氏の講演はスタートした。
小杉氏はまた、2021年夏にサティア・ナデラ氏が「(コロナ禍が)1年以上経過するなかで、企業や組織のDXはむしろ加速しており、まだ始まりにすぎない」と語ったことも引用した。裏付ける数値として、Microsoft Teams利用者数の変化を見ると、パンデミック当初は4400万人だった利用者数が2021年3月には約3倍の1億4500万人となり、日本国内の中小企業では以前の4倍に達した。パンデミックの渦中にあって、多くの人がTeamsを活用してDXに向き合い、事業を継続しようとしている証しでもある。
次に小杉氏は、過去20年間の株式時価総額上位5社の変遷を示した。20年前の1999年当時は、Microsoft、GE、NTT、Cisco Systems、Walmartが対象となり、携帯電話革命やインターネットの普及、Windows98の出現があった。5年後の2009年はイラク戦争や石油輸出危機、サブプライムローン問題の発生を受け、中国石油天然気(ペトロチャイナ)やExxon Mobil、中国工商銀行が上位を占めた。
直近の2019年は、Apple、Microsoft、Alphabet(Googleグループの持株会社)、Amazon、FacebookといったのGAFAM企業が上位に進出している。2019年の上位5社は、いずれもデジタルプラットフォームを活用してビジネスを行い、業務を改革・改善しながらDXを進めてきた企業。まさに、そうした会社がここ最近は世界中で急成長していることを意味している。
さらに小杉氏は、上記企業が「時価総額10億ドルの評価達成までにかかった時間」に注目。全米上500社の総収入ランキング「フォーチュン500(Fortune 500)」の企業は約20年を要したが、GoogleやFacebookは6〜8年、Airbnbは3年、Xiaomiは2年という短期間で達成している。デジタル革命を起こしてプラットフォーマーをうまく活用しながらビジネスを進めてきた企業であり、DXをいち早く実現してきた者たちなのだ。
では、日本の企業はどうか。DXをどのように位置付けているのか。ややもすれば、単に「情報システムを刷新する」ことと思われがちなDXだが、当然それだけではない。「なぜ、これほどまでに日本でDXが求められているのか?改めて考えてみるべきだ」と小杉氏は提言する。
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