純木質耐火集成材「FRウッド」を採用した多層ビルが港区で着工、炭素固定量は110トンプロジェクト

ジューテックは、鹿島建設や住友林業とともに、東京都港区で、木造とS造を組み合わせたハイブリッド構造を採用したオフィスビル「ジューテック本社ビル」の開発に着手した。

» 2021年10月21日 09時00分 公開
[BUILT]

 ジューテックホールディングス(以下、ジューテック)は、鹿島建設や住友林業とともに、東京都港区で開発を進めていたオフィスビル「ジューテック本社ビル」が2021年7月に着工したことを発表した。

床の木材使用量は1m2当たり0.038m3

 ジューテック本社ビルは、木の価値と魅力の発信を目的に、鹿島建設や東京農工大学などが共同で開発した純木質耐火集成材「FRウッド※1」を建築物で初めて採用し、木造とS造を組み合わせたハイブリッド構造とする。さらに、国土交通省が、先導性の高いプロジェクトであることを認め、「令和2年度サスティナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択した。

※1 FRウッド:鹿島建設の登録商標。鹿島建設、東京農工大学、森林研究・整備機構森林研究所、ティー・イー・コンサルティングの共同開発。鹿島建設、住友林業、ティー・イーコンサルティング、三井住商建材が国土交通大臣の認定を取得。住友林業の登録商標は「木ぐるみFR」

 建物では、部材として使用される木材が約110トンのCO2を固定する見込みで、約110トンのCO2量は約2960平方メートルの杉林が50年間で吸収するCO2量に相当する。また、床の木材使用量は1平方メートル当たり0.038立方メートルで、港区が策定した「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」の最高ランク「3つ星」となる1平方メートル当たり0.010立方メートルの木材利用を上回るため、みなとモデル二酸化炭素固定認証制度の認証を取得する予定だ。

「ジューテック本社ビル」の外観イメージ図 出典:ジューテックホールディングスプレスリリース
「ジューテック本社ビル」の内観イメージ図(多様な働き方に応えるコミュニケーションハブ) 出典:ジューテックホールディングスプレスリリース

 加えて、本社ビルでは、多様な働き方に対応する柔軟な職場の形成や環境配慮と社会貢献を体現する設計・施工を導入し、純木質耐火修正材による木構造を採用する他、自然災害が発生した時にも機能するテクノロジーを取り入れ、BCP対策の強化を図る。

ジューテック本社ビルの概要

 ジューテック本社ビルは、S造(一部木造)地下1階/地上8階建てで、延べ床面積は4878平方メートル。所在地は東京都港区新橋6-3-4。設計監理・施工は鹿島建設が、設計・施工協力は住友林業が担当し、竣工は2023年2月を予定している。

ジューテックの概要

 ジューテックは、1923年9月に「べニア商会」として合板の販売を開始し、2023年9月に創業100周年を迎える。この記念事業の一環として、創業の地である東京都港区新橋に今回の本社ビルを建設することを決定した。

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