今回のセミナーでは、一般的なLANやWi-Fiの活用が困難な状況でのHD-PLC導入事例を多数紹介。その中から、特徴のあるものを抜粋して紹介する。
■居住向けインターネット通信(名古屋大学・学生寮)
外国人研究者・学生向け集合住宅(137部屋の寮)の事例では、昨今の社会状況もあり、学校の授業がオンライン化されるなど、学生寮でインターネット環境を早急に整える必要が生まれた。しかし、有線LANの敷設には工事に時間がかかり、ポケットWi-Fiの配布では回線使用料の費用がネックとなった。
そこでHD-PLCの導入を検討するが、寮という性格上、通信速度も求められた。HD-PLCの実効通信速度は、UDPで30Mbps、TCPでは20Mbps程度となる。これを137戸で分割すると、1戸あたりで、超低速のネット環境しか提供できない。
そのため今回の導入では、HD-PLCでデータを流す系統をキュービクル1内のブレーカーごとに複数分割。それぞれの系統内に、コアとコンデンサーなどで構成するフィルターを設置して、20Mbpsを最大7戸で利用するように工夫した。
※キュービクル:高電圧を施設で使える電圧に変換する機器を収めた設備
これによって、最大7戸のHD-PLC系統が21回線できることになった。20Mbpsの速度を寮全体で分割すると、超低速のネット環境になるが、系統を分割したことで7戸が同時に利用しても1戸あたり2.8Mbpsほどの通信が可能になる。
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