■マンション地下駐車場
プラグインハイブリッド車や電気自動車が普及し、自動車用の充電設備を備えた駐車場が増えている。自動車用の充電器は、使用状況のデータを収集して管理センターへ送信する。そのため、データ通信が可能な場所にしか設置できないのが課題だった。
例えばマンションの地下駐車場では、携帯キャリアの電波を利用したデータ通信ができない。また、無線や有線のLAN導入も困難となる。地下では壁や天井の穴あけ工事が難しいためだ。このために、充電器の設置を諦めることが多かった。
HD-PLCは、こうした課題の解決策にもなる。地下駐車場に設置されたコンセント、または照明などの電源にHD-PLCアダプターをつなげば、簡単にインターネット環境が構築できる。セミナーでは、地下1階と地下2階の駐車スペースに、HD-PLCアダプターを取り付け、管理室のルーターからネット接続するシステム構成を紹介した。
■距離が離れた場所に監視カメラを設置
陸上競技場などの広い場所に監視カメラを設置する際は、カメラと管理棟までの距離があることが多いので、LANケーブルでは工事が大掛かりとなってしまう。しかし、HD-PLCならば、手軽かつ短時間でカメラ設置が実現する。
鹿児島県曽於郡大崎町にあるスポーツ合宿拠点「ジャパンアスリートトレーニングセンター大隅」での監視カメラ設置例では、施工時にまだ三相3線式による利用が認められていなかった。そのため、倉庫から分電盤までの約200メートル間に電力線を引き、その両端にHD-PLCアダプターをつないだ。LAN配線では、100メートルごとにハブを設置しなければならないが、電力線であれば不要となり、LANに比べ配線作業も簡単で済む。
グランドの監視カメラは、照明ポールに取り付けられており、当然ながら照明には電源が接続されている。現在は、法改正によって三相3線でのHD-PLCの接続ができるので、同様のグランドでは新しく電力線を引く必要はない。
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