大林組は、コクヨと共同で、10分間の防火性能を有する連装ガラスパーティションを開発した。今後、両社は、開発した連装ガラスパーティションを積極的に提案する他、防音性などの機能を付加した仕様の開発も進めていく予定だ。
大林組は、コクヨと共同で、10分間の防火性能を有する連装ガラスパーティションを開発したことを2021年6月29日に発表した。
建物火災時の避難安全設計では、出火室から炎や煙が避難経路となる廊下などへ多量に漏れ出ることを防ぐ必要がある。解決策として、これまでは排煙設備を設置して内装材を不燃化する対策(内装制限)が多くの建築物で採用されていた。
しかし、近年、火災シミュレーション技術の向上により、居室と廊下の間に設けられた開口部(扉やガラスパーティション)を防火設備とする方法が、従来の手法と比較して、低コストで廊下への漏煙量を減らせることが判明した。
一方、明るさや開放感が求められるオフィス空間の会議室などでは、ガラスの間に鋼製枠のない連装ガラスパーティションが好まれる。だが、連装ガラスパーティションを防火設備とするには、加熱による面外変形を防止するために鋼製枠を1〜2メートル間隔で搭載しなければならず、意匠性が劣り閉鎖的になるという課題があった。
そこで、大林組は、コクヨと共同で、10分間の防火性能を有する連装ガラスパーティションを開発した。
今回の連装ガラスパーティションは、10分間防火設備の大臣認定を取得したもので、直径約30ミリの面外変形防止金具をガラス目地に1点ずつ配置することで、避難安全性と意匠性を保ちつつ、避難安全検証法※1の適用により排煙設備や内装制限を緩和できる。鋼製枠の取り付けやシーリング工事の削減にもつながるため、排煙設備や内装制限の対策を実施する場合に比べて、建築工事費を1〜2%程度コストダウンする。
※1 避難安全検証法:建物火災時の避難行動および煙・ガスの性状を予測し、避難経路の各部分において在館者の避難が終了するまでに煙やガスにより危険な状態にならないかを確認する手法
両社が開発した連装ガラスパーティションの特徴は、ガラス間に鋼製の縦枠がないため、壁一面がガラスのような開放感を演出し、ガラス間目地のシーリングに高透明性の材料を使用することで、よりガラス面の連続性を高められる点。ガラス表面にドット柄やストライプ柄などのガラスフィルムを貼ることで、デザイン性が向上するとともに視線を柔らかく遮り、一般執務エリアから応接・役員エリアまで幅広く使える。
また、直径約30ミリの面外変形防止金具により、火災時に火炎が噴出する隙間の発生を抑制する。なお、無対策では、300度を超えると隙間が生じ、600度の炎にさらされると90ミリほどの隙間が発生するが、今回の連装ガラスパーティションは600度の火でも隙間があかない。加えて、厚さ70〜130ミリのコクヨ製不燃スチールパーティションと連結可能なため、通常のオフィスレイアウトで自由に取り付けられる。
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