吉野石膏は、透湿性が木質系耐力面材の約12倍を誇る外壁下地用耐力面材「タイガーEXハイパー」を開発した。
吉野石膏は、住宅と商業施設向けの建材やインテリア製品、設備機器などが集結した展示会「Japan Home & Building Show 2020」(会期:2020年11月11〜13日、東京ビッグサイト)内で開かれた「第42回 ジャパンホームショー」に出展し、2020年5月に発売した外壁下地用耐力面材「タイガーEXハイパー」を披露した。
タイガーEXハイパーは、石膏(せっこう)製の無機質系面材で、木質系面材と比べ、耐火性に優れる。吉野石膏が、タイガーEXハイパーと木質系耐力面材の表面を同じ条件で約3分間燃焼して、燃えにくさを比較した結果、木質系の耐力面材は出火し、裏面まで燃え広がったのに対して、タイガーEXハイパーは炎が上がらず、裏面も燃えなかった。
吉野石膏の担当者は、「タイガーEXハイパーの大きな特徴は、従来品と比較して、軽くなり透湿性(湿気の通しやすさ)がアップした点だ。重さは21キロで、従来品より5.2キロのスリム化を果たし、運搬しやすくなっている。透湿性は、木質系耐力面材の約12倍で、セメント系の6倍に及び、無機質系の約2倍に相当する。湿気を通しやすいため、壁内部に結露が生じにくく、土台や柱、壁などの腐食を防げる」と説明した。
続けて、「タイガーEXハイパーと木質系耐力面材の透湿性を調べるため、沸騰する湯を入れた2つの容器の上に、各面材でフタをして、上にシャーレをかぶせて、水蒸気の通り抜けやすさを確かめる実験を行った。結果、木質系耐力面材をフタにした容器はシャーレがくもっただけだったが、タイガーEXハイパーをフタにした容器は大量の水蒸気が通り抜けて、シャーレに水が垂れる状態になり、高い透湿性があることが判明した」と付け加えた。
タイガーEXハイパーの耐震性について、吉野石膏の担当者は、「タイガーEXハイパーは、地震や台風による振動や衝撃を端部で受け止める筋交(すじか)いとは異なり、全体で吸収し、一部にかかる負担が軽減されるため、地震や台風に強い。取り付けは、クギのみで行え、筋交いとは違い、柱と梁(はり)の金物と干渉しやすい接合金物は使用せず、柱と梁の機能に影響を与えない」と述べた。
また、タイガーEXハイパーは、吸水による寸法変化が小さいため、反りが生じにくく、面材同士を密に突き合わせた状態で配置でき、屋内外の空気を遮断可能で、気密性と防音性も高い。
施工性に関しては、筋交い材を使わずに済むため、グラスウールといった断熱材の挿入が容易。さらに、他の耐力面材では、切断する際に丸のこを用いるが、タイガーEXハイパーは、丸のこだけでなく、カッターでの加工にも応じている。加えて、室内側の面材に開口部やニッチを設けられ、内装材を張り付ける必要も無い。
タイガーEXハイパーの標準サイズは厚さが9.5ミリで、幅910×長さ3030ミリ。タイガーEXハイパーを用いた耐力壁における仕様の種類は、壁倍率2.7の標準仕様や壁倍率2.2の床勝ち仕様、壁倍率が2.5となる入隅仕様の3種類。
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