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» 2021年07月30日 09時00分 公開

“事故物件”のガイドライン案を公表、賃貸の告知は3年間や自然死は不要など産業動向

国土交通省は、過去に人が死亡した不動産の取引に際して宅地建物取引業者がとるべき対応についてまとめた「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)」を作成し、パブリックコメント(意見公募)を2021年5月20日〜6月18日に実施した。今後、国交省では、パブリックコメントで集まった意見を参考に、今回作ったガイドライン案の改訂などを行う見通しだ。

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 国土交通省は、過去に人が死亡した不動産の取引に際して宅地建物取引業者がとるべき対応についてまとめた「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)を作成したことを2021年5月20日に発表した。

 宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)は、2020年2月5日に設置された「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」の議論を踏まえて作られた。

階段からの転落死、入浴中の転落死、食事中の誤嚥などは告知義務無し

 今回のガイドラインは、居住用不動産で生じた人の死に関する事案を扱っており、隣接住戸や前面道路などで発生した事案については対象外としている。しかし、集合住宅の不動産取引では、専有部分と貸室だけでなく、買主あるいは借主が日常生活で通常使用するベランダの他、共用の玄関、エレベーター、廊下、階段なども該当する。

宅地建物取引業者が買主と借主に告げるべき事案は、他殺、自死、事故死、その他原因が明らかでない死亡が発生したケース

 また、宅地建物取引業者が買主と借主に告げるべき事案については、他殺、自死、事故死、その他原因が明らかでない死亡が発生したケースとしており、自然死や日常生活の中での不慮の死(建物の階段からの転落死、入浴中の転落死、食事中の誤嚥による死亡など)が発生した場合は、原則として告知する必要はないとした。

 さらに、宅地建物取引業者は、上記の告知すべき事案が生じたことを疑わせる特段の事情がないのであれば、こういった事案が発生したか否かを自発的に調査すべき義務は、宅地建物取引業法上、認められないとしている。ただし、販売・媒介活動に伴う通常の情報収集といった調査過程で、売主・貸主や管理業者から、過去に、告知すべき死亡事案が発生したことを知らされた場合や自らこれらの事案が発生したことを認識した際(例えば、売主である宅地建物取引業者が物件を取得する時に死亡事案の存在を把握したケースなど)には、宅地建物取引業者は、買主・借主に対してこれを告げなければならない。

 加えて、媒介を行う宅地建物取引業者は、売主・貸主に対して、告知書(物件状況確認書)などで過去に生じた事案についての記載を求めることで調査義務を果たしたものとされるが、宅地建物取引業者は、取引する不動産で過去に起きた死亡事案について、売買契約後の引き渡しまでに知った場合、買主と借主に告知しなければならない。

 調査の過程で、照会先の売主・貸主あるいは管理業者が、事案の有無及び内容について、不明であると回答した場合、あるいは回答がなかった場合であっても、宅地建物取引業者に重大な過失がない限り、照会を行った事実をもって調査はなされたものとする。

 告知について、宅地建物取引業者は、賃貸借契約の場合、死亡事案の発生から約3年間は事案の発生時期、場所、死因を借主に告げなければならない。売買契約のケースでは、一定の考え方を整理する上で参照すべき判例や取引実務などが、現時点で十分に蓄積されていないため、当面の間は宅地建物取引業者が調査を通じて判明した範囲で買主に事案の発生時期、場所、死因を告知すべきとしている。

 なお、賃貸借契約と売買契約ともに、亡くなった人の遺族など、関係者のプライバシーに配慮する必要があることから、氏名、年齢、住所、家族構成や具体的な死亡原因、発見状況を告げる必要はないとした。買主・借主に事案の存在を告げる際には、後日に発生すると見込まれるトラブルを防止するために、書面の交付を用いることが望ましいとしている。

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