道路付属物の状態を動画でまとめて見られる新システム、古河電気工業メンテナンス・レジリエンス OSAKA 2021

古河電気工業は、対象の道路に設置された標識やカーブミラー、照明、街路樹などの状態をまとめてチェックするのに役立つ付属物巡視支援システム「みちてんクルーズ」を2021年9月にリリースする。

» 2021年07月20日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 国内には、標識やカーブミラー、照明、街路樹といった道路付属物の位置や状態を把握できていない市町村単位の自治体が多数あり、住民の通報で破損した道路付属物の位置をはじめて知り、その都度、補修を行うケースが多い。そのため、変形した道路付属物にぶつかって交通事故となるケースもたびたび起きており、地方自治体では不具合のある道路付属物を迅速に発見するためのソリューションが求められている。

 こうした要望に応えるために、古河電気工業は、ゼンリンデータコムと道路付属物の点検表作成サービス「みちてんスナップ」を2020年6月25日にリリースした。

 みちてんスナップの作業手順は、まず、自治体担当者が巡回車で道路を走行し、車に取り付けたドライブレコーダーで道路付属物を撮影する。

 次に、古河電気工業が独自のRPA(Robotic Process Automation)を用いて、ドライブレコーダーで取得した動画を解析し、道路付属物の位置や属性を検出して、国土交通省の点検要領に基づいた定期点検の記録様式である「点検表」を自動作成する。点検表には、道路付属物の種別や管理番号、所在地、緯度と経度、全景写真が記載される。さらに、点検表や道路付属物の全景写真、地図をスムーズに見られる閲覧用の専用ソフトウェアも点検表の納品時には付属する。

「みちてんスナップ」のサービス概要 出典:古河電気工業

 みちてんスナップの効果を高めるソリューションとして、古河電気工業は、付属物巡視支援システム「みちてんクルーズ」を2021年9月にリリースする。発売に先駆けて、同社は、メンテナンスと国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)をテーマに掲げた建設総合展「メンテナンス・レジリエンスOSAKA 2021」(会期:2021年7月14〜16日、インテックス大阪)内の「インフラ検査・維持管理展」でみちてんクルーズを披露した。

過去に取得した道路付属物の動画を比較して確認可能

 みちてんクルーズは、巡回車に搭載したドライブレコーダーで撮影した動画から、独自のRPAで道路付属物を映した映像だけを抽出し、確認しやすい動画にまとめる。加えて、過去にみちてんスナップで取得した道路付属物の映像を比較することにも応じているため、劣化や損傷の見つけ出しを後押しする。

「みちてんクルーズ」のシステムイメージ
「みちてんクルーズ」の専用ソフトの画面

 システム利用者に提供される閲覧用ソフトウェアでは、対象物の拡大や画質の調整が行える他、ユーザー自身が動画を閲覧した上で対象物の状態を「要補修」「健全」「クルーズ判断不可」といった判定をして専用ソフトでリスト化できる。

 古河電気工業の担当者は、「みちてんクルーズは、細かく調べる現場点検が必要な状態の悪い道路付属物を早期発見するのに役立ち、全体の対象物を短時間でチェックする“スクリーニング”に適している。現在、栃木県宇都宮市が試験導入し、効果や有効な使用方法を検証している」と説明した。

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