コロナ禍でLIXILの活路となったショールームデジタル化「1.4万組がオンラインで高い満足度」COVID-19(1/3 ページ)

LIXILは、コロナ禍で全国のショールームで対面接客を停止したことに伴い、オンライン上で新たなサービスを展開している。ヴァーチャルショールームや商材の3DモデルをZoomを介して顧客に提案し、これまでに累計1万4000組が利用して高い顧客満足度と同時に、従業員の働き方改革ももたらされたという。

» 2021年05月28日 06時12分 公開
[石原忍BUILT]

 LIXILは、2020年4月に発出された緊急事態宣言を受け、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、全国のショールームで対面での製品提案を止めた。そのため、コロナ禍での新たな販売戦略の一つとして、スマートフォンやPC、タブレットといった各種デバイス上のオンラインミーティングツール「Zoom」を介して、ヴァーチャルなショールーム体験を提供する「LIXILオンラインショールーム」を2020年5月から全国で開始している。

 これまでの約1年間で延べ1万4000組(2021年4月末時点)が利用するまでに達し、非対面での接客の有効性が確認され、afterコロナを見据えた次の方針を打ち出すべく、2021年5月27日に報道関係者向けの説明会を開催した。

LIXILショールームのデジタル化

LIXIL マーケティング部門ショールーム統括部長 竹下文人氏

 説明会では、LIXIL マーケティング部門ショールーム統括部長 竹下文人氏がショールームのデジタル戦略について解説した。

 LIXILでは、北は北海道から南は九州まで全国に85拠点(2021年5月時点)のショールームを運営している。しかし、緊急事態宣言により、全拠点でサービス停止に追い込まれたことを機に、これまでと同様のショールーム体験が可能になるように新たなオンラインサービスの開発に着手した。

 全社運用のデジタル施策として以前から導入していたZoomやアカマイの企業向けセキュリティ「Enterprise Application Access(EAA)」、情報共有ツール「Workplace from Facebook」と、ショールームで利用していた即日見積もりのシステムや360度の製品展示、ARシミュレーションなど、社内インフラとショールームのデジタルサービスを融合させることで、これまでにない非対面でのオンラインサービスを立ち上げた。

緊急事態宣言下でのオンラインショールームの取り組み

 LIXILオンラインショールームは、スマホ、PC、タブレットのZoom画面を通じて、通常は各地のショールームで常駐している計約1000人のショールームコーディネーターと相談できるサービス。顧客は、Web上に再現されたヴァーチャル空間を歩き回りつつ、360度回転する3DモデルでLIXILの取り扱うキッチンや浴室、洗面、リビング建材、サッシ、エクステリアなどを検討しながら、見積もりやプランをコーディネーターとともに作成していく。

 商談後には、提案資料に印字されたQRコードをiOS用アプリ「Digital Room AR」で読み込めば、帰宅してから自分の室内に製品を投影して設置後のイメージをつかむこともできる。

ヴァーチャルショールームでの商品紹介デモ
説明会のデモで紹介した提案書サンプル。中央上部にAR用のQRコードが記載されている
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