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» 2020年12月28日 08時00分 公開

日立、大雨時の緊急放流回避に向けたダム放流計画自動作成技術を開発ICT河川管理

日立製作所と日立パワーソリューションズは、大雨による河川氾濫の最小化に向けて、ダム放流計画の自動作成技術を開発した。下流のピーク流量を最大約80%低減、浸水を防ぐ放流計画を10分以内に立案する。

[BUILT]

 日立製作所と日立パワーソリューションズは、大雨による河川氾濫の最小化に向けて、ダム放流計画の自動作成技術を開発した。緊急放流を回避しつつ、下流のピーク流量を最大約80%低減、浸水を防ぐ放流計画を10分以内に立案する。

 同技術では、「プログレッシブ動的計画法」という新たな数値最適化手法を用いることで、ダム下流の河川流量を可能な限り抑える放流計画を自動作成する。具体的には、連携する複数のダム同士の放流量とタイミングを、最初はごく粗く計算し、その後は徐々に細かい計算を繰り返すことで、短時間で放流計画を算出する。作成する放流計画は、大雨に先立ってダムの水位を下げる「事前放流」と、上下流の複数のダムの貯留や放流のタイミングをずらす「ダム連携」の対応を組み合わせたもので、ダムの放流量を急激に変化させない「放流の原則」などの現場のルールを順守している。

ダム放流計画立案支援のイメージ ダム放流計画立案支援のイメージ 出典:日立製作所

 同社が河川上流にある3つのダムを対象にシミュレーションを実施したところ、一般的な「事前放流」や「ダム連携」を実施しない放流計画では、ダムが満杯になり緊急放流に至ったのに対し、新技術では、100年に一度の規模の大雨でも緊急放流を回避しつつ、下流のピーク流量を最大で約80%低減し、浸水を発生させない計画を10分以内に立案できることを確認した。1000年に一度の規模の大雨で浸水が発生する場合も、浸水面積を95%低減できるとした。

 これまで、大雨による河川氾濫を防止するには、技術者が雨水のダム流入量を観測し、その都度ダムの放流量を決めることが一般的であった。しかし、緊迫した状況の中、現場の制約やルールを順守しながら最適な放流計画を短時間で立てることは、経験を積んだ技術者であっても難しい。今回の技術によりこれらの課題解決を目指す。

 今後、日立パワーソリューションズは同技術を活用して、放流計画立案などのダム管理業務を支援するソリューションを2021年度に提供開始する予定だ。

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