日本工営は、定点観測用カメラで撮影した画像を解析して、夜間時の河川変化を検知する手法を研究開発している。この技術では、夜間に取得した画像から輝度分布を解析して自動で水位の上昇を検知する。水位の解析技術は、既に2カ所で施行運用を行っているという。
日本工営は、監視カメラで撮影した映像に、画像鮮明化や動体追跡などの手法を組み合わせ、夜間や悪天候時などカメラの視認性が悪い状況でも、河川の土砂移動減少や渓流の濁り・水位の変化を検知する新技術の研究を進めている。検証は既に伊豆半島を流れる狩野川で済んでおり、今後はリアルタイムでの運用と実用化を目指す。
国内では、水位や流量、水流の勢いを常時確認して河川管理を行う重要性の高まりを受け、河川に監視カメラを設置するケースが増えてきている。しかし、夜間や大雨、降雪などといった悪条件下では、カメラ映像の視認性は低くなり、既存の画像解析では、水位上昇や水の濁りといった災害につながる変化を把握することは困難だった。
そこで日本工営は、土木研究所と、ブレインズと共同で、斜面の土砂移動減少や渓流の流況変化(水位や濁りの変化)を検知する技術を開発。昼夜間の映像での動体追跡や高精度の距離検出、画像を鮮明にする処理などの既存技術を有効に組み合わせて、夜間や悪天候時の映像が不鮮明となる状況でも、河川状況を確認することを実現させた。
共同研究した3者はそれぞれ、土木研究所が解析データ収集に加え、土砂移動の判断方法とその情報の提示方法の検討、日本工営が現地での計測と解析手法の開発、ブレインズが画像解析装置を担当した。
新技術の検証は、既に国土交通省 中部地方整備局 沼津河川国道事務所の協力を得て、静岡県・伊豆半島を流れる狩野川の直轄砂防流域に設置している監視カメラ映像をもとに行った。
濁りの検知には、画素ごとの色を構成するRGB値(赤、緑、青)をオープンソースの画像解析ライブラリーで抽出。濁った水は茶系のR値が相対的に大きく、次いでG値(緑)、B値(青)の順となることから、こうした色情報の違いを濁水検知の指標にしている。
一方で水位の読み取りには、画素の輝度情報(明るさを表す数値)に着目し、水位標部分を抽出して画像処理ソフトでトリミングした画像の輝度分布を解析することで、画像から自動で水位を判別する。輝度情報の度数分布を示す、ヒストグラムを平滑化処理することで、夜間降雨時の画像を鮮明にし、夜間や降雨時の画像でも水位を読み取ることが可能になった。
日本工営では、「水位の判読解析は、天竜川上流河川事務所と沼津河川国道事務所で試行運用中だが、色情報の解析に関しては、実績はなくまだ開発段階にある。今後は、検知の精度検証とあわせて、リアルタイムでの運用と実用化を目指していく」とコメント。
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