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» 2020年07月20日 07時00分 公開

パナソニックが考える「2020以降の街づくり」:天体観測の名所「美星町」で、パナソニック LS社の防犯灯が高評価な理由―― (1/2)

パナソニック ライフソリューションズ社は、防犯上必要な明るさを維持しつつ、上方光束をゼロにして、星空に影響を与えない「光害対策防犯灯」を開発し、岡山県井原市美星町に導入した。

[遠藤和宏,BUILT]

 パナソニック ライフソリューションズ(LS)社は2020年7月13日、岡山県井原市美星町の井原市美星支所で、国内で初めて国際ダークスカイ協会(IDA)の認証を取得した「光害対策防犯灯」の説明会を開催した。

 会場では、井原市 未来創造部 定住観光課 課長補佐 藤岡健二氏やパナソニック LS社 主幹 椋木教太氏、IDA 東京支部 代表 越智信彰氏が、光害対策防犯灯を美星町が導入した経緯について紹介した。

星空保護区認定の取得を目的に光害対策防犯灯を導入

 美星町は、1980年代後半から星をテーマにしたイベントを開催しており、今では天体観測の名所として広く知られる。1989年11月22日には、市街地や工業地帯から離れ、人口光が少なく夜空が暗い状態を保つため、日本初の光害防止条例「美しい星空を守る美星町光害防止条例」を制定した。

 2016年8月に、井原市の職員がWeb記事で、IDAが運営する「星空保護区認定制度※1」を知ったことをきっかけに、IDAの越智氏に連絡を取り、同年9月の意見交換を行い認定取得に動き出すこととなった。

※1:星空保護区認定制度は光害の影響が無く、暗く美しい夜空を保護・保存するための優れた取り組みを評価する制度を指す。

美星天文台の初夏の天の川

 星空保護区には、6つのカテゴリー「ダークスカイ・コミュニティー」「ダークスカイ・パーク」「ダークスカイ・リザーブ」「ダークスカイ・サンクチュアリ」「アーバン・ナイトスカイプレース」「ダークスカイ・デベロップメント」がある。美星町では、6分野の中で、町や市を対象にしたダークスカイ・コミュニティーのアジア圏初となる認定を目指している。

 認定条件をクリアするには、町内に配置した防犯灯の上方光束をゼロにし、色温度を3000ケルビンにする必要がある。上方光束とは、照明器具から水平より上方向に発する光を指し、ゼロにするためには、機体の形状や角度を工夫しなければならない。また、色温度3000ケルビン以下は、電球色のような光色で、蛍光灯や水銀灯、白色LEDではない。

パナソニック LS社 椋木教太氏

 町内の白色LEDを採用した防犯灯411台を交換するにあたって、国内にIDAの基準を満たす製品が市場に出回っていないことが問題になった。そこで2019年3月に、井原市の職員は、パナソニック LS社を訪問し、町の取り組みについて相談し、協力関係を結んだ。

 後日、パナソニック LS社が、電球色LEDを搭載した防犯灯のサンプルを井原市に提供した。2019年7月に美星町で、サンプルを用いて実証実験を実施したが、上方光束が確認され、良好な結果が得られなかった。

 2019年9月に、井原市と美星町観光協会が改めて、パナソニック LS社を訪れ、IDAの基準に適合する防犯灯の開発を依頼。発注を受けて、パナソニック LS社は、防犯上、不可欠な明るさを維持しつつ、上方光束比0%かつ、色温度3000ケルビン以下の光害対策防犯灯を開発し、2020年1月にIDAから光害を与えない製品として国内初の認証を受けた。

 パナソニック LS社の椋木氏は、「光害対策防犯灯は、最初に井原市に提供した電球色LEDの防犯灯を改良したもので、光の照射角度を0度に変更して、内部に樹脂製のルーバーを2つ装着し、光の明るさを抑えている」と説明した。

最初に井原市に提供した電球色LEDの防犯灯(上)と改良した光害対策防犯灯(下)
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