2020年1月22日〜24日にパシフィコ横浜で開催された「SC BUSSINESS FAIR2020」で、乃村工藝社が企画・プロデュースしたブースでのコラボレーションでは、曲面などを採り入れた大規模な自立式木質空間のパビリオンを設計。地域産材を用い、コンピュテーショナルデザインとデジタルファブリケーションを展示会の空間演出として融合させた。
このときの設計手法は、乃村工藝社が描いたシェル構造の基本概形に対し、VUILD ARCHITECTSがプログラムを組み、実現可能な幾何学の形状に落とし込む実施設計を担った。どういうパーツの割り当てであれば材木が少量で済み、工数も最適なのかを探り、部品ごとにプログラム上でナンバリングして、現場では組み合わせるだけで完了。まさに、設計段階のコンピュテーショナルデザインと、その先のデジファブ(製造段階)がハイブリッドされている方法論だからこそ実現したプロジェクトとなった。
コンピュテーショナルデザインのメリットについて秋吉氏は、「WordやExcelのコピー&ペーストのように、1度プログラムを作ってしまえば、別の類似する構造物へも“再利用”が可能なことにある。次の展開では、EMARFのサービスとしてコンピュテーショナルデザインをパッケージ化する構想を描いており、そうなればVUILDがプログラムを構築してユーザーに提供するといった会社としての業務拡大の可能性も見込める。設計業務はこれまでアナログだったが、もっとITよりのビジネスモデルを創出する可能性を秘めているのがコンピュテーショナルデザインの魅力」と語る。
さらに「システムを提供することが可能になれば、設計事務所や建設会社にとってはコンピュテーショナルなデザインが得意な人材を自社で抱え込まなくても、デジタル建築に挑戦できるようにもなる」と、コンピュテーショナルデザインが建築の産業構造すらも変える可能性があることを示唆した。
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