建築家・横河健氏が「旅」をテーマに曲面大ガラスで“繊細なる無限空間”創出OKAMURA Design Space R企画展【P4に動画】(1/4 ページ)

オカムラデザインスペースRで、「建築家と建築以外の領域の表現者との協働」を基本コンセプトに毎年開催している企画展が第17回目を迎え、2019年8月30日まで開催されている。今展では、建築家・横河健氏を招聘し、「旅」をテーマに作品を展開した。

» 2019年08月06日 09時17分 公開
[石原忍BUILT]

 建築家と建築以外の表現者との協働をコンセプトにした企画展が、2019年8月30日まで、オカムラ ガーデンコートショールーム(東京都千代田区紀尾井町4-1)内の展示スペース「OKAMURA Design Space R」で開催されている。

 企画展では、毎回1人の建築家(企画建築家)を招き、「いま最も関心があって、挑戦してみたい空間・風景の創出」を依頼する。目指すのは建築家の個展ではなく、建築家と表現者(コラボレーター)が協働することで創出される新しい空間・風景づくり。毎回、前年の12月に企画が立ち上がり、マンスリー・ミーティングを重ね、半年近くの模索を続け、オープニングの日を迎えるという。

モノづくりの旅を空間全体で再現

建築家・横河健氏

 17回目となる今回は、横河設計工房を主宰する建築家・横河健氏(武蔵野美術大学建築学科客員教授)を選出し、若手アーティスト2人とコラボレーション。会期中の2019年7月26日には、作品を解説するシンポジウム「旅」を開催した。OKAMURA Design Space R 企画実行委員会の委員長を務める川向正人氏(建築史家、建築評論家)と、横河氏を含めた製作に携わった3人で、さまざまな角度から作品を論じた。

 参加アーティストは、東京藝術大学大学院修了後に、アーティストグループ「アトリエオモヤ」のメンバーとして活動し、「浮遊」をキーワードに「鳥」や「羽根」をモチーフにした作品を創作している小松宏誠氏と、「音と暮らしとテクノロジー」をテーマにアンビエントミュージック(環境音楽)を制作して、多方面で披露しているサウンドアーティストのsawako氏。

参加アーティスト・小松宏誠氏

 今展でのインスタレーションでは、横河氏が「旅=モノづくりの旅」を企画。旅は、多様な経験から複雑な意味が見い出せる人生そのものにも置き換えらえるとして、自身が旅してきたモノづくり(建築)の旅を表現。その上で、建築に限らずモノづくりは歓びのためにあると定義し、会場では旅を経て、3人の共通項でもある繊細性にスポットを当て、繊細な無限空間「歓びの空間」を創出した。

 横河氏は、「2018年12月の最初のミーティングで、全体のスケジュールを7カ月間で考えて欲しいとオーダーを受け、当初は“揺らぎ”をテーマに考えた。建築の仕事は、コストや工期など、いろいろな条件の中で成立させる必要があり、合理性を良しとする。しかし、こうしたインスタレーションの場だからこそ、合理性ではない、多様な建築の通奏低音にある“繊細性”を表現したかった」と語る。

 そこで会場内を歩き回り、最終的に“幸せな空間”にたどり着くというコンセプトを立て、デザインスペースRの中央には、1500(幅)×2100(高さ)ミリの曲面ガラスパネルをアルミダイカストのジョイントコネクターで3カ所連結し、連続したガラスパネルの透明な空間を構築した。

最初期の設計案
最終的な設計図面
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