ヒューマンタッチ総研は、国内における建設業の人材市場動向をまとめた2020年9月分のマンスリーレポートを公表した。今月のトピックスでは、厚生労働省の「一般職業紹介状況」を基に、緊急事態宣言が発令されて以降の建設業における新規求人数の推移を分析している。
ヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は2020年9月28日、国内における建設業の人材市場動向をまとめたマンスリーレポート「ヒューマンタッチ総研〜Monthly Report 2020年9月」をリリースした。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」より、産業別で新規求人数(パート含む)の対前年増減率をみると、緊急事態宣言が発出された2020年4月には、各産業ともに新規求人数は一気に減少している(図表1)。
その後、同年5月25日に緊急事態宣言が解除されたのを受け、6月はやや回復するが、感染拡大が収束に向かわない中、7月には再び減少率が高まった。そのような状況下で、新規求人の減少率が最も低かったのが建設業。建設業の新規求人数の対前年増減率は4月(15.8%減)、5月(11.3%減)と減少だったが、6月(2.6%増)には増加に転じた。7月(9.8%減)は再び減ったが、いずれの月も全産業の中で最も減少率が低く、新型コロナウイルスの感染拡大が建設業の人材需要に与えた影響は、全産業の中で最も小さかったことが判明した。
また、建設業に関連する職種別に、新規求人数の対前年増減率をみると、各職種ともに全職種計よりも減少率は低くなっている(図表2)。とくに、土木作業員など土木の職業については、5月(1.2%増)、6月(6.8%増)、7月(2.0%増)と増加しており、新型コロナウイルス感染症の拡大後も人材需要は前年を上回っている。
これらのデータからも、新型コロナウイルス感染症拡大が建設業の人材需要に与えた影響は限定的で、全産業の中で最も影響が小さかったことが分かる。
雇用関連の月次データでは、2020年7月の建設業就業者数は474万人(前年同月比95.8%)、雇用者数は388万人(同95.3%)となり、前年同月比で4カ月連続のマイナスとなった。一方、公共職業安定所(ハローワーク)の新規求人数は、6万9111人(同90.8%)と6月の3.2%増から減少に転じた。
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