国土交通省は毎年、直轄工事が正しく行われているかを確かめるために、全国一斉点検を実施している。建設業法で義務付けられた「施工体制台帳の備え付け」と「建設業許可票と施工体系図の掲示」の履行状況や元請け業者と下請け業者の契約内容などを調査した。
国土交通省は、2002年度から継続的に「公共工事における施工体制の全国一斉点検」を実施しており、2019年度も10月から12月までに稼働している721件の直轄工事を対象に行った。
調査開始時の稼働中工事は8216件で、全体の約8.7%に当たる721件を点検した。うち、低入札価格調査制度の対象工事は16件で、重点的な監督業務を要する工事については優先的に19件を調べた。
調査結果では、明らかな建設業法違反に当たり、許可部局への通知が必要な工事は無かったが、全体のうち約11.0%(79件)の工事で、書類の不備など軽微な改善すべき項目があった。
基本点検項目では、監理技術者を証明する資格者証の提示やJVに参加する主任技術者に求められる資格要件を確かめた。
また、建設業法で義務付けられた「施工体制台帳の備え付け」や「建設業許可票と施工体系図の掲示」については、施工体制台帳の備え付けは全体の98%が履行し、建設業許可票と施工体系図の掲示は100%だった。
建設業許可票と施工体系図は、点検を開始した2002年度も、全ての工事で貼り出されていたが、建設業法や適正化法の趣旨が十分に浸透しておらず、建設業許可票は全体のうち75.6%、施工体系図は全体のうち18.6%の現場で、改善点が見つかったが、2019年度は、全ての現場で適切な表示が行われており、大幅に改善されていた。
施工体制台帳の備え付けで、多かった不備は「添付資料不足」(12件)や「台帳の記載不足」(5件)で、ミスが生じた理由は整理不足が全体の61%を占めた。
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