大林組が開発した解体時の騒音を泡で覆って低減する「バブルサイレンサー」が、2020年日本建築学会賞(技術部門)を受賞した。
大林組は2020年6月3日、解体工事で発生する騒音を泡で覆うことで低減する新工法「バブルサイレンサー」が2020年日本建築学会賞(技術部門)を受賞したことを公表した。日本建築学会賞は、建築に関する学術、技術、芸術の進歩に寄与する優れた業績を表彰する制度。
バブルサイレンサーは、解体作業時のコンクリート破砕に用いる重機「ジャイアントブレーカー」の先端ノミ部分を気泡で覆い、解体に伴って発生する騒音を低減し、粉じんの飛散も抑制する。装置は後付けできるため、低騒音タイプのジャイアントブレーカーに装着することで、さらなる相乗効果が図れる。
今回の受賞では、解体に伴う音エネルギーの約7割を減らし、周辺環境を損ねる粉じん飛散を約9割削減できる利点をはじめ、ガラ(解体後のコンクリート廃材)に付着した気泡が生分解するため、産業廃棄物にならず、がれき類として従来通り処分できることなどが評価された。また、気泡を用いる手法が独創的かつ社会貢献につながる技術と見なされたことも選定理由となった。
バブルサイレンサーは、防音パネルや低音量のワイヤーソーが使えない解体工事で、音量の大きいブレーカーの騒音を低減する目的で開発された。騒音の発生箇所となるノミを一定の厚さの泡で覆い続けることで、気泡が騒音カバーの役割を果たす。
また、気泡は、コンクリートの割れ目に流れ込み、さらに突き崩したガラを包み込むことで、粉じんの飛び散りを防ぎ、粉じん用ネットや散水も必要ない。
大林組では今後、バブルサイレンサーをコンクリート構造物の解体作業だけでなく、岩盤の掘削にも適用していくとしている。
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