新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、米マイクロソフトが提供するコラボレーションプラットフォーム「Microsoft Teams」とDaaS(Desktop as a Service)「Windows Virtual Desktop(WVD)」の利用が世界各国で拡大していることを受け、日本マイクロソフトはアフターコロナの働き方改革に有効なツールとして普及を推進している。
日本マイクロソフトは2020年5月27日、オンラインで「中堅中小企業・スタートアップ企業の事業継続に向けた支援・連携に関する記者説明会」を開催した。
当日のセッションのうち、日本マイクロソフト 執行役員 コーポレートソリューション事業本部 事業本部長 三上智子氏が行った講演「新型コロナウイルス感染症、その先のニューノーマル(新常態)に向けた取り組み」と、金融機関の山口フィナンシャルグループ IT統括部 來島友治氏が「新型コロナウイルス感染症への対応 Office 365(Microsoft Teams)、Surfaceを活用したテレワーク環境整備」と題した事例紹介を取り上げる。
三上氏は、コラボレーションプラットフォーム「Microsoft Teams」とDaaS(Desktop as a Service)「Windows Virtual Desktop(WVD)」の活用例を説明した。
米国をはじめとした世界各国の政府が、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、ロックダウン(都市の封鎖)や外出禁止令などの施策を実施する中、ITを活用しワークスタイルを変えることで、ビジネスを継続する企業が増加している。米マイクロソフト CEO Satya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、「この2カ月(2020年4〜5月)で、2年分のデジタル変革が起きた」とコメントを寄せている。
マイクロソフトの調査によれば、テレビ会議や通話、チャットなどが行えるMicrosoft Teamsの1日当たりのアクティブユーザー数は、2019年11月時点で2000万人だったが、2020年4月末時点では7500万人に達し、新型コロナウイルスの影響で利用者数が3倍に増えたことになる。
また、社内サーバに設けた仮想のデスクトップ環境に、社外のPCからアクセスできるWVDのユーザー数も、2019年11月時点と比較して、2020年3月28時点では3倍以上になった。
国内でもIT利用は加速している。日本マイクロソフトが中堅・中小会社1264社にヒアリングしたデータによれば、2020年5月26日時点で全体のうち50%がリモートワークを導入している。さらに、リモートワークを検討中の会社が全体の26%に及ぶことも判明。「現状でリモートワークの課題は、紙資料のデジタル化やネットワークインフラの構築、オフィス入電への対応、リモートワーク用デバイスの整備などだと考えている」(三上氏)。
三上氏は、「新型コロナウイルスが原因で、従来のワークスタイルからリモートワークなどを用いた新しい働き方(ニューノーマル)に移行するためには、3つの段階を経験すると想定している」と語る。
新しい働き方への3段階について、「まず、緊急対策として、リモートワークを導入し、社員が遠隔地からオンラインで会議や商談に参加したり、社内システムにアクセスしたりすることが挙げられる。次のステップでは、紙資料のデジタル化や社内システムのセキュリティを強化するとともに、さまざまな業務に対して省人化や自動化を進める。最後のフェーズでは、新しい働き方で仕事を行うことが、通常の状態となり、事業戦略の革新的な改善や社員の意識改革、新ビジネスの構築に取り組みやすい体制を整えることとなる」と解説した。
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