スマートビルディングは、施設内に取り付けたカメラやセンサーで、建物の状態を監視するシステムで、有事の際には来館者や屋内で勤務する従業員に避難経路の案内などを行う。カメラが撮影した画像をシステムに組み込まれたAIが分析して、不審者などを特定するため、万引きといった犯罪行為の防止にも使える。テナントの入居者であるかを判断する機能もあり、部外者の侵入を防げ、ビルに滞在する人の属性(人数、性別、年齢)を解析することに応じているため、マーケティングに生かせる。
鈴木氏は、「システムを用いた万引きの阻止は、不審な行動をしている人がいた場合、カメラが撮影した画像をAIが分析し、異常な動作を感知して、店員が携帯する端末にアラートを発信する仕組みをイメージしている。経済産業省が発表した2017年の商業統計によれば、全国の万引き被害額は、1日当たり約12億6000万円で、年間では約4600億円に上る。大規模な商業施設やスーパーマーケットでは、システムを導入する利点は多いと思う」と話す。
導入のメリットには、オフィスの入居者や訪問者の安全を確保する点やビルオーナーがシステムで得られた情報をテナントにクラウドを介して提供しサービス料を得られる点、テナントが提供されたデータを基に販売戦略を立てられる点、新型コロナ対策としてビルとテナントに人が立ち入ることを抑えられる点もある。
販売ターゲットは自治体やテナント、入居企業、不動産業者で、パートナー企業は、警備会社やSier、ビル建設会社を想定している。
スマートベンディングマシンは、自動販売機に高精彩カメラや画像認識ソリューション、5G通信システム、センサーなどを実装したもので、自動販売機荒らしなどの犯罪が発生した時に、カメラがリアルタイムに撮影した映像で、管理者が状況をすぐに確かめられるため、迅速に通報が行える。周辺の環境を録画することで、地域の治安向上にも役立つ。
「日本自動販売機工業会の調査によると、現在国内では、清涼飲料の自動販売機だけで、合計約250万台が稼働している。全体の一部をスマートベンディングマシンに置き換えた場合でも、地域のセキュリティを高めるソリューションとして機能すると考えている」(鈴木氏)。
採用のメリットには、カメラやセンサーで取得したデータを基に購買者の属性や気候、天気を分析し、マーケティングが進められる点や需要を予測可能な点、販売ロスの低減につなげられる点もある。販売対象は、自治体やコンビニ、ファミレス、ホテル、スポーツジムで、パートナー企業は、飲料メーカーや飲料小売り会社を見込む。
スマートビルディングとスマートベンディングマシンともに、収益の柱はカメラやセンサーで得られた情報の販売となる。
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