最近注目している技術がある。それは「BIツール」である。BIツールのBIとは、「ビジネス・インテリジェンス(Business Intelligence)」のことで、日々蓄積する膨大なデータを分析し、その結果を解析や別の分析などに活用するツールを指す。
ジャッグジャパンが公開している「都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ」は、Esriの「Operations Dashboard for ArcGIS」というBIツールで、感染状況がダッシュボード化されている。
公開されているWebページをみると、感染状況が一目で把握できる。また、単に結果を閲覧するだけでなく、デバイスをタップすると詳細なデータも表示される。日々の情報が随時追加され、常に最新の情報に更新されている。詳細データでは、例えば、地図上の青い点をクリックすると、そこで発生した患者の年齢や性別、発症日などのウィンドウが現れ、マップ上の県を選んだ場合は、当該県の患者数についての情報に切り替わる。
感染者数マップは、単純な統計グラフではなく、これを使ってさらにデータ分析などに役立てられるツールだといえ、このようなツールの登場でビッグデータの活用が推進されてゆくことが期待される。まさに私が提唱する「EBL(Extended BIM Level)」で、Level4「Digital Integration」の段階において作られるデータベースによって、価値あるビッグデータが生成され、さまざまな分析が進められる。
政府が新型コロナウイルス対策を迅速化するために、全国8000病院の医療体制に関するDB(データベース)化を整備し、運用を始めるというニュースを見た。情報のDB化とその先の活用は、各種対策を立案する際に迅速化につながるので、今後あらゆる情報がDBに集約し、利活用されるようになってゆくことが想定され、建設業界も例外ではないはずだ。
話題を変えて、“テレワーク”による業務を考えてみよう。連載の第1回でも説明したように、建設業界では紙で印刷した図面をもとに、打ち合せをすることを基本としてきた。打ち合せは、基本的に離れている場所にいたとしても、直接話をしないと伝わらないという固定観念の下に、どこかに集まってミーティングをしてきた。
長らくこのような仕事のスタイルであったが、今回のコロナ禍でテレワークによる業務を余儀なくされたおかげで、全ての打ち合せに集まらなくても問題ないと感じた方も多いはずだ。Microsoft TeamsやZoomなど高機能なオンラインミーティングツールの進化による恩恵ともいえる。筆者も毎日、Microsoft TeamsやZoomを使って、いつもよりも多くの会議をこなしている。
設計作業については、BIM 360の活用がキーとなる。海外のとある2020年BIMソフトウェアランキングでは、1位はRevitではなく、BIM 360だった(Revitは2位)。クラウド上のファイル共有ツールではなく、クラウド上でプロジェクト全般を管理・運用できる点が多くの方の支持を得たのだと推察される。
Autodesk BIM 360がテレワークで便利な機能は豊富に用意されているが、その一つがワークシェアリングの機能である。BIM 360のワークシェアリングとは、下図のようにクラウド上の共有モデルを、違う場所にいる複数の作業者が、同時にRevit上のBIMモデルを共有して作業することができるというものである。
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