映像進捗管理システム開発コンソーシアムは、大槌町の水門工事現場で、4Kカメラとクラウド、AIを組み合わせた建設現場の進捗管理システムを試験的に導入した。
岩手県 沿岸広域振興局 土木部は2020年2月4日、安藤ハザマJVが施工している岩手県大槌町の大槌川水門・小鎚川水門工事現場で、「ICT(AI)活用事例の現場見学会」を開催した。
2011年3月11日に発生した東日本大震災により、被災地の岩手県内では、現在でもさまざまな復旧・復興工事が各地で進められている。大槌町でも、水門の新設や改築、河川施設の復旧、 津波防潮堤の新設工事が発注され、最終段階に差し掛かっているという。
なかでも、大槌川水門・小鎚川水門の工事は2020年3月に概成が予定されており、受注者の安藤ハザマを代表とする映像進捗管理システム開発コンソーシアムは、建設業の働き方改革につながる取り組みの一つとして、この現場で全国的にも珍しい「定点カメラ映像による進捗管理システム」を導入している。
進捗管理システムは、半日ごとや日々の状況把握、進捗確認、施工プロセスの管理、次工程の施工計画立案などといった現場監督者の頭を悩ませていた課題を解決すべく、5社から成るコンソーシアムを形成し、開発された。コンソーシアムには、施工者の安藤ハザマ、全体システムを設計したSIerの日本マルチメディア・イクイップメント(JME)、建機の自動認識技術を手掛けた富士ソフト、深層混合処理データを提供した計測ネットサービス、アドバイザーの立場で宮城大学 蒔苗耕司教授の5者が参画した。
システムで開発目標とされた技術が、1.3D設計データや建設機械の3D位置情報を映像に重ね合わせること、2.映像からAIの自動認識でダンプや建機の稼働状況を自動算出、3.映像からオルソ画像(上空から見た映像)を生成の3つ。
今回、現場で試行したシステムには、現場映像の表示と、映像と3次元モデルの重ね合わせ、建機が稼働している状況の可視化といった各機能を搭載している。
このうち現場映像の表示では、高精細な4Kライブ映像と、過去に記録したものを早回しで再生する「タイムラプス映像」によって進捗具合を確認。3次元情報は、3D設計データをはじめ、盛土の転圧データや安藤ハザマが開発した「3Dパイルビューアー」から得た地盤改良時の深層混合処理データ(電流値)を映像の上に重ね、施工品質の確保に利用。建機の稼働情報では、映像をAIで分析した稼働レポートやGNSSで取得した建機の位置情報をクラウドを介して、現場事務所などのモニターに表示した。
安藤ハザマではこのシステムにより、現場に行く回数や手持ち時間の削減、測量人工の低減、手戻りの防止といった業務改善が見込め、生産性の向上につながるとしている。
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