新サービスで採用されている新技術の省エネシミュレーションについて、技術開発本部 ファシリティ開発部の佐藤冬樹氏は、「省エネ提案は、各ビルに合わせた効果見積もりが必要となるが、設備単位の消費電力把握が欠かせないためコストが上がってしまう。そこで、独自の機械学習技術で、PCや照明、コンセント電力も含めた受電電力を空調の室内機単位まで分解する」。
クラウドのシミュレーション上では、「制御対象となる室内機を選択することが可能になり、運転データと組み合わせて設備単位の消費電力を試算することで、詳細かつ定量的な省エネ目標設定を策定できるようになった」と説明した。
また、「従来型の制御機能は、ピーク電力の抑制には有効だったが、年間の電力使用量カットには、別途で実績管理と制御見直しが必要なため難しかった。そこで、需要予測を行い無理なく達成できる計画を作成し、現在時刻までの使用量に基づいて、計画を自動的にフィードバックするアクティブ省エネ制御も開発した。ピーク電力と年間の電力使用量を抑えられる運用を完全自動化しているのは当社のみで、スケージュール管理の機能によって、人を介さないスマートビルが実現する。中央監視室の技術者が電気量のコントロールまでは、手がまわらないなどの人手不足の課題をも解消する」と有用性を示した。
スマート・省エネ・アシストは2019年4月からトライアルを開始し、9件のビルへ既に適用されている。最も効果が表れた地上6階建て延べ床面積5100平方メートルのオフィスビルでは、空調機自体の更新も行われたこともあり、ピーク電力が286kW(キロワット)から導入後に206kWへと28%ダウン。使用電力量は、6万6901kWh(キロワットアワー)から5万6780kWhへと15.1%が削減されたという。
スマート・省エネ・アシストのサービス対象者は、三菱電機製ビル用マルチエアコンのユーザーで、利用料金は月額5000円を予定している。
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