日本版ZEBを構成する「ZEB Ready」「Nearly ZEB」『ZEB』「ZEB Oriented」という4つの規格が披露された。
ZEB Readyは再エネを除き、省エネ適合判断基準比で50%低減した建物。Nearly ZEBは、ZEB Readyの条件を満たした上で、再エネと創エネルギー(創エネ)で、同比75%減とし、『ZEB』はNearly ZEBと同様の要件を土台に、同比100%減した施設。
ZEB Orientedは、延べ床面積1万平方メートル以上の建物を対象にしており、国土交通省所管の建築研究所が公開するWebサイト「WEBPRO」の未評価技術を導入した上で、事務所や学校、工場では基準比マイナス30%以上、ホテルや病院、百貨店、飲食店なら同比マイナス40%以上の省エネを実現した建築物を指す。
ZEBは、設計段階に建物のエネルギー消費性能をWEBPROで評価する。非住宅用のWEBPROのうち、標準と主要室入力法のプログラムを用いる。ZEB設計では、高断熱化や日射遮蔽などの建築的手法を意味するパッシブデザインと、空調機や給湯器、照明などのビル設備でエネルギー効率を高めるアクティブデザインの組み合わせ方がポイントになるという。
国土交通省が運営する建築物省エネ性能表示制度(BELS)についても解説。松下氏は、「省エネ性能によって、ZEBのランクを決める制度。取得が義務化されていない上、費用もかかるため、一部ZEBで、BELSを有していない建物もあるが、大半は認証を得ている」と語った。
続けて、BELSの国内の取得状況について、「2019年7月の段階で、国内に300棟弱のZEBがある。内訳は、全体の72%がZEB Ready、19%がNearly ZEB、残りの9%が『ZEB』が占め、ランクが高いZEBは少ないのが現状だ。延床面積では、2000平方メートル以下がトータルの60%、2000〜5000平方メートルが20%、5000〜1万平方メートルが8%、1万平方メートル以上が12%にとどまり、大規模施設ではまだまだZEB化が進んでいないのが実態だ」と述べた。
【訂正】記事の初出時に、三菱電機 ビルシステム事業本部 ビル事業部 ビルシステム新事業企画部長の松下雅仁氏の人名に誤りがあったため、訂正しています。(2019年10月4日16時40分)
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