国土交通省 関東地方整備局は、展開する道路や橋梁といったインフラのメンテナンスサイクルや点検に関する取り組みの認知拡大を推し進めている。
国土交通省 関東地方整備局は2019年7月11〜12日、千葉県松戸市の建設技術展示館で、公共工事に関わる技術者の知識習得と技術の普及を図ることを目的として「第9回 出展技術発表会」を開催した。
7月12日の講演の内、関東地方整備局 道路部 道路管理課 道路構造保全官の阿部稔氏が行った「関東地方整備局における老朽化対策の取組」を紹介する。
冒頭、阿部氏は、道路のメンテナンスに関する取り組みについて説明した。
阿部氏は、「国土交通省では、2012年に発生した笹子トンネル天井板落下事故を契機に、2013年をメンテナンス元年として、本格的にメンテナンス事業に取り組むことを開始した。同年には、道路のメンテナンスサイクルの構築に向けた審議会を開催。統一的な技術基準や点検を行えるように、道路法の改正も実施された」と説明した。
さらに、「2014年には、道路法の改正に伴い、定期点検に関する省令・告示を公布し、点検に必要な基準を提示した。同年には、道路メンテナンスサイクルの構築と、具体的な支援策について審議し、同年6月に定期点検要領を通知。その後、定期点検が順次進められている。2017年からは、点検データなどを生かした戦略的で効率的な修繕の推進を目指したセカンドステージに移行している」と解説した。
具体的な各道路管理者が行うメンテナンスサイクルでは、橋(約73万橋)・トンネル(約1万本)などは、国が定める統一的な基準で、5年に1度、近接目視により全数監視が義務付けられている。舗装、照明柱などは、適切な更新年数を設定し、点検・更新を行う。
点検物は診断し、健全、予防保全、早期措置、緊急措置の4段階で判定する。その結果に基づき、計画的に修繕を進め、必要な補修ができない場合は、通行規制・通行止めをする。利用状況を踏まえ、橋梁(きょうりょう)などを集約化・撤去を促し、重大事故などが起きた場合は、原因究明や再発防止策を検討する「道路インフラ安全委員会」を設ける。適切な措置を講じない地方公共団体には国が勧告・指示し、最終的に点検・診断・措置の結果はまとめて評価・公表する。
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