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» 2019年08月19日 05時33分 公開

メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019:高速トンネル内でも打音がクリアに、機械学習で異常波形を検知

ネクスコ東日本エンジニアリングは、コンクリート構造物の打音点検を通行車両の騒音やトンネル内の反響音がある環境下でも、クリアに聞こえるようにするシステムの開発を進めている。

[石原忍,BUILT]

 ネクスコ東日本エンジニアリングは、「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019」(会期:2019年7月24〜26日、東京ビッグサイト)内のインフラ検査・維持管理展2019で、開発中の打音診断支援システムの実演を行った。

点ではなく、線・面でコンクリ表面を転がして診断するコロコロeye

 ネクスコ東日本エンジニアリングの打音診断をサポートするシステムは、橋梁(きょうりょう)やトンネル内部といったコンクリート構造物のうき・剥離(はくり)の損傷有無を判断する打音点検を容易にかつ正確に行うことを目的に開発。使用機器は、既に販売している点検器「コロコロeye」と、ヘルメットにガンマイクを備えた聞き取り装置で構成されている。

 このうち、コロコロeyeは、クワキ・シビルと共同開発した六角の軸球体を先端に持つ金属製スティック。コンクリート表面に先端の球状部分を転がすことで、1点ではなく、面や線での点検が可能になる。これまでハンマーの打音点検では、高所や桁端部など手の届かない場所の確認ができなかったが、コロコロeyeは30度まで先端部を曲げられ、長さも伸ばせるため、狭あい部や高所にも対応する。ラインアップは3種類で、各診断長さと価格は、先端を曲げられる標準タイプが440〜890ミリで2万9000円、ストレートタイプは360〜810ミリで同額、最も長いロングが1800ミリで2万4000円。

「コロコロeye」の標準タイプ

 打音の波形は、点検ハンマーと同等の精度。関越自動車道(本庄児玉〜藤岡JCT)のRC中空床版(検査面積1248平方メートル)で行った実証実験では、従来方法だと182分掛かっていたところ、コロコロeyeと点検ハンマーを併用することにより、125分で済み、37%の作業時間の短縮につながった。

「コロコロeye」のデモ。面で点検することができる

 実用化に向け研究中の支援システム「S-SJ:Smart Soundness Judgment」は、コロコロeyeの打音点検を補助するもので、交通量の多い高速道路などで打音が正確に聞き取れないなどの問題を解消する。

 作業者が着用するヘルメットには、単一指向性のガンマイクとオープン型のヘッドフォン、アンプ、LEDランプが接続。アンプは、波形分析ソフトを内蔵した1ch専用アンプで、ショットガンマイク、ヘッドフォンとつながっている。

 コンクリート表面をコロコロeyeの先端で転がした音をショットガンマイクで拾い、周囲の交通音やトンネル内の反響音などがある中でも、不必要な周波数帯域をアンプでフィルターカット処理した調整打音に変換し、クリアに聞き取れる。

システムで使用するアンプ

 また、機械学習により、ノイズを取り除き、打音の波形に異常があった場合は、ヘルメット先端に取り付けたLEDランプが点灯して知らせる機能も備えている。なお、AI部分の開発については、公立諏訪東京理科大学 工学部の田邉造准教授の協力を得ているという。

実演デモ。コンクリ表面にうきがあるとヘルメットのランプが赤く付いて知らせる

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