NEXCO中日本は、熊本地震を受け、2017年度から橋梁の耐震補強工事を進めているが、入札不調などが多いため、耐震補強の設計業務を円滑に実施するために「基本契約方式」を導入した。
NEXCO中日本は、熊本地震における橋梁(きょうりょう)の被災状況を踏まえ、耐震補強事業の早期実施に向け、耐震補強設計の円滑化に向け「基本契約方式」を導入した。基本契約方式であれば、関係者協議などの準備が整った橋梁から順次、個別契約を結び業務に入れるため、スムーズに設計業務の着手が実現する。
2016年4月に発生した熊本地震では、地震により橋桁を支える支承部などが損傷し、緊急輸送道路としての機能復旧には時間を要すことになった。NEXCO中日本では、こうした事態を未然に防ぐため、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高いとされる地域の橋梁、約600橋を優先して橋桁を支える支承部の補強や交換などの対策を2017年度から継続して行っている。
しかし、耐震補強工事では、交通規制の関係者による事前協議や施工条件などの検討に時間がかかるため、速やかに設計業務に着手できないケースがある他、工事時期が重複して短期間に業務が集中することもあり、入札不調も多く発生しているのが問題点があった。
受注者にとっては、従来の契約方式であれば、工事案件ごとで契約を結ぶ必要があったが、基本契約方式では、関係者協議などの準備が完了した案件から順次、個別契約を締結して設計業務に着手することができる。そのため、受注者は業務量や技術者数などを考慮して、実施計画を立てられ、業務量の平準化や効率的な実施体制による業務運営が可能になる。
また、基本契約に基づき、公的資格要件と業務実績が求められる「業務統括管理責任者」を配置するが、その下に、資格は必要だが業務実績は必須ではない個別契約の管理技術者を契約案件ごとに置くため、若手技術者でも担当することが可能で、若手の経験・人財育成につながることも期待される。
なお、NEXCO中日本が2018年12月現在で、基本契約方式により、第4四半期に公告を予定している設計業務は、名古屋第二環状自動車道や東海北陸自動車道などの「橋梁設計」で9件となっている。
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