主要統計から見る建設業の市場動向、「出来高」は54.5兆円に増加建設業の人材動向レポート(11)(3/3 ページ)

» 2019年07月31日 10時00分 公開
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民間などからの受注高の増加が底支え

 「元請受注高」を発注者別に見ると、公共機関からの受注高が16兆3700億円(2016年)から15兆2400億円(2018年)へと減少する中、民間などからの受注高が41兆8600億円(2016年)から42兆1980億円(2018年)へと増加しており、民間からの受注増が建設市場の底支えとなるだろうことが分かる。

【図表4 元請受注高(発注者別)の推移】 出典:国土交通省「建設工事受注動態統計調査」より作成

■維持・修繕工事の比率が高まる

 「建設工事施工統計調査」では、「完成工事高」を業種別に把握することができるほか、新設と維持・修繕工事別にも把握することができる。

 新設、維持・修繕工事別の元請完成工事高の推移を見ると、維持・修繕工事の完成工事高が2008年度の13兆2037億円から2017年度には16兆4164億円に増加し、維持・修繕工事が占める比率も25.5%から28.7%に上昇していることが分かる。

【図表5 新設、維持・修繕工事別の元請完成工事高の推移】 出典:国土交通省「建設工事施工統計調査」より作成

■まとめ

 「建設総合統計」で建設業の売上に該当する「出来高」の推移を見ると、市場規模は拡大傾向であることが分かった。

 同じく「建設総合統計」で、将来の売上動向を示す先行指標である「手持ち工事高」の対前年同月比を見ると2018年6月以降マイナスとなっていること、「建設工事受注動態統計調査」で「受注高」を見ると2016年の86兆円をピークに減少に転じていることから、今後の建設業の市場規模はやや伸び悩むのではないかということが推測できる。

 また、「建設工事施工統計調査」からは、維持・修繕工事の完成工事高が増加傾向にあることが分かる。

著者Profile

ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)

ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。

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