屋外向けミスト式冷却機や多言語対応のストリートサイネージなど、将来の課題を解決するソリューションを開発2020年とその先のレガシーに向けた取り組み(1/3 ページ)

パナソニックは、2020年以降の社会課題の解決を目指し、街や施設の価値を高める製品とサービスを開発し、普及を進めている。

» 2019年07月22日 09時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 パナソニックは2019年7月11日、東京・江東区のパナソニックセンター東京有明スタジオで、セミナー「2020年とその先のレガシーに向けた取り組み」を開催した。

 同社東京オリンピック・パラリンピック推進本部長・ビジネスソリューション本部長・統合型リゾート(IR)事業推進本部長・執行役員の井戸正弘氏が登壇し、「パナソニックの挑戦 2020年およびその先のレガシー形成に向けて」と題した講演を行った。スマートシティーを実現するソリューションの展開や施設空間の価値向上への取り組みが紹介された。

セミナー「2020年とその先のレガシーに向けた取り組み」

屋外エアコンで2020年開催の東京オリンピック参加者の熱中症を防ぐ

 パナソニックは、2020年以降の社会課題を見据え、2014年に対策本部を設置。対策本部では、交通利便性やアクセシビリティー、環境配慮、コミュニケーション、決済、安全、防災の分野で生じると予測される問題の解決を目標に掲げる。そのために、「スマートトランスポーテーション」「スマートコミュニティー」「スマートコミュニケーション」「スマートペイメント」「スマートセキュリティ」という5つのカテゴリーを設け、それぞれで製品開発を進めている。各分野をまとめた総称は「5スマート」と呼称している。

5スマートのイメージ 

 井戸氏は5スマートのうち、屋外の暑さを緩和する常設型のミスト冷却機「グリーンエアコン」と仮設にも対応した「グリーンエアコンFlex」を説明。いずれもスマートコミュニティーのミスト式冷却機で、独自開発した2流体ノズルによって、湿りにくい平均粒径10マイクロメートル以下となる極微細の水分「シルキーファインミスト」を生成する。極小のため素早く蒸発し、気化冷却で周囲の空気を冷やす。

グリーンエアコンやグリーンエアコンFlexによる暑さ対策
パナソニック東京オリンピック・パラリンピック推進本部長・ビジネスソリューション本部長・統合型リゾート(IR)事業推進本部長・執行役員の井戸正弘氏

 グリーンエアコンは、旋回状の気流を採用したトルネード型「エアカーテン送風」で、直径2メートルのドーム型空間を機器直下に形成するため、屋外でも横風の影響を受けにくい。2019年4月19日発売後、東京・港区の新橋SL広場やお台場レインボー公園に導入されている。今後はバス停・歩道への普及も進めていくという。

 一方のグリーンエアコンFlexは、ノズルユニットに柔軟な樹脂製配管を使用しているため、給水は上下水道への接続に加え、水道水での利用に限定されるが外部タンクにも対応しており柔軟な施工ができる。横浜市や神戸市、東京都葛飾区で2019年7月から実証実験が行われており、同年9月下旬から競技場周辺に提案する方針だ。

 井戸氏は、「2018年の熱中症の死亡者数は1500人、救急搬送は9万5137人だった。2020年に開かれる東京オリンピックのマラソンでは、選手と観客を暑さから守ることが大きな課題となっている。当社では、解決策の1つとして両機を提案していく」と語った。

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