酒井重工業は後進用緊急ブレーキ装置を搭載したタイヤローラ「TZ704 Guardman」を開発。工事現場の事故ゼロを目指し、普及を進めている。
酒井重工業は、「産業とくらしの関東グランドフェア2019」(会期2019年7月5〜6日、幕張メッセ)に出展し、後進用緊急ブレーキを搭載したタイヤローラ「TZ704 Guardman」のデモンストレーションを披露した。
TZ704 Guardmanは2018年秋に発売された舗装用締固め機械。運転者の不注意によるバック事故を未然に防ぐ、後進用緊急ブレーキ装置「Guardman」を備えていることが最大の特徴となる。
Guardmanは、バック運転時に、後部に取り付けられた3Dセンサーで後方の物体を検知後、車輪に設置された速度センサーと連動し、緊急停止を行う。停止時は、タイヤロックしないため路面の材料が押し出されるのを抑えられる。
探知エリアは、4(縦)×2.3(横・転圧幅)メートルの広さで、高さは0.6メートル以上をカバーする。車両後端から0.6メートルが死角となる。感知は対象物の色によって難易度が変わり、紺や黒などの暗色系は難しい一方、白色や橙色といった明色系は容易に判別。さらに、反射シート付のチョッキを着用することで、検出精度は上昇する。
特許出願中の路面上に生じる湯気を対象物と見なさない技術で、緊急ブレーキを必要以上に作動することなく転圧作業が継続できる。
酒井重工業の技術担当者は、「これまで、タイヤローラを用いた道路の締固めで後進時に、少なからず事故は存在していた。そういった問題の解決に向け、安全性の向上とともに、作業性を落とさないことに注力し開発されたのが後進用緊急ブレーキ装置だ。壁やガードレールといった構造物に隣接した道路で使用しても、3Dセンサーは誤作動せず舗装が行える。対象の高さは0.6メートル以上で設定しているが、対象の色合いや条件によっては、その高さ以下でも検知できる」と語った。
運転席には、後方画像を常時表示するモニターが付いており、ドライバーの後部確認に役立つ。3Dセンサーと連携し、物体検知後に画面で注意喚起を行う機能も付いているため、事故防止に貢献する。
運転席と車体背後には、スピーカーも搭載。3Dセンサーで後方の物体を感知後、警告音を発し、運転手や周囲に危険を知らせる。緊急停止後は、「緊急ブレーキが作動しました。前後進レバーをニュートラルに戻しパーキングボタンを押してください」とアナウンスし、円滑な駐車作業を後押しする。
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