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» 2019年03月14日 06時00分 公開

AIで市街地の風環境を数分で予測、設計初期から検討が可能で迅速な合意形成に役立つ

大成建設は、AIを活用し、建物周辺で発生する複雑な風環境を簡易な操作により高速で予測する技術を開発した。設計の初期段階から風環境を考慮した検討が可能となり、関係者間での速やかな合意形成も実現する。

[BUILT]

 大成建設は、AIを活用し、建物周辺で発生する複雑な風環境を簡易な操作により、高速で予測する技術を開発した。

設計初期で風環境計画の速やかな合意形成を実現

 開発の背景には、高層建築物の周辺では「ビル風」と呼ばれる強風が発生することがあり、建物周辺の風環境を事前に予測し対策を施すことは、最適な風環境を構築する上で重要とされている。

 現状、市街地での建物周辺における複雑な風環境を適切に予測するには、風洞実験や数値シミュレーションを行っているが、これらの方法では時間とコストを要するため、従来は設計の進捗に合わせて風環境を逐次検討するのが困難だった。

 課題解決のため、今までの施工実績などで得た数値シミュレーションによる風環境の結果をAIに学習させ、建物周辺の風環境を短時間で予測する技術を開発した。

 計測手順は、まず建物形状データと風向きを入力。このデータを自動で画像化して、風環境予測AIで処理し、風予測の画像を出力。3次元化されて表示されるため、建物周辺の風速や風向き分布が一目で分かる。人の操作は周辺建物を含む、建物形状データと風向きを入力するだけのため、設計者自らが設計の進捗に合わせて、風環境を評価することが可能になる。

技術の概要 出典:大成建設
予測結果の一例。従来技術の数値シミュレーション(左)、AIによる予測(右) 出典:大成建設

 既存のAIによる風環境の予測技術は、建物1棟のみが対象だったが、新技術では大小さまざまな建物が林立する市街地までをカバーする。周辺建物の影響を考慮したより現実に近い風況(風速・風向)を予測することが実現する。

 これまでの縮尺模型を用いた風洞実験では約2カ月、データ作成および3次元計算を行う数値シミュレーションでは1〜2週間程度の時間を要していた。新しい手法では、AIの学習結果に基づき、建物周辺の風況をプロットする画像処理を行うため、わずか数分で風況予測が可能になる。

 大成建設では、風環境の予測精度をさらに向上させ、風環境を考慮した設計支援ツールとして構築していく。

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