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» 2019年03月05日 07時00分 公開

ロボット:耐火吹付けロボットの実用化を後押しする「巻付け」「吹き付け」のハイブリッド被覆工法

鹿島建設は、鹿島フィット、万象ホールディングスと共同で、鉄骨造建物の耐火被覆工事に「巻付け」と「吹き付け」の2通りの工法を併用する「ハイブリッド耐火被覆工法」を開発した。

[石原忍,BUILT]

 鹿島建設は、鹿島フィット、万象ホールディングスと共同で、鉄骨造の建物を対象とした耐火被覆工事に、「巻付け」と「吹き付け」の2通りの工法を併用する「ハイブリッド耐火被覆工法」を開発した。既に1時間から3時間の耐火で国土交通大臣認定を取得するとともに、都内で施工中の建築工事において、梁(はり)の耐火被覆作業に適用したという。

下フランジと、ウェブ・上フランジで2通りの工法

ハイブリッド耐火被覆工法の施工状況 出典:鹿島建設

 ハイブリッド耐火被覆工法は、耐火被覆の吹き付けで難度が高く、脱落の恐れがある“下フランジ”には、吹き付けではなく高耐熱ロックウールフェルトを巻き付け、ウェブと上フランジには「高耐熱粒状綿」という新たな被覆材を吹き付ける2通りの工法を組み合わせている。

 高耐熱粒状綿は、通常の粒状綿に比べて、繊維が細く短いため密度が高く、熱収縮率が小さい。本材料単体での国土交通大臣認定(1〜3時間耐火)は、2017年1月に既に取得している。

 従来の被覆材では、被覆部に必要な密度を確保するため、吹き付けた後に鏝(こて)を用いた押さえ作業が必要だったが、高耐熱粒状綿では通常のロックウールより密度が高いため、鏝押さえが不要になる。被覆の厚さも薄くできるため、作業の省力化や材料コストの低減が図れる。

 下フランジは、ロックウールフェルト巻きにすることにより、吹き付け作業で多く発生する被覆材の飛散が無くなり、作業環境の改善がもたらされる。

ハイブリッド耐火被覆工法のイメージ図 出典:鹿島建設

 新工法の採用で、下フランジは人手による巻付け、ウェブと上フランジはロボットによる吹き付けといった作業分担が可能となり、鹿島建設が掲げる「鹿島スマート生産ビジョン」における耐火被覆吹付ロボットの実用化が大きく前進するという。

 鉄骨造の建物は、火災時の崩壊を防ぐ目的で、鉄骨の表面に耐火被覆処理を施す必要がある。一般的には、ロックウールをセメントスラリーと混合した被覆材を鉄骨に吹き付けている。この作業時には、粉じんが発生するため、防塵(ぼうじん)マスクなどの保護具を装着する必要があり、作業者の負担となっていた。

 鹿島建設が策定した「鹿島スマート生産ビジョン」では、「作業の半分はロボットと」をコアコンセプトの一つに位置付け、繰り返しや苦渋を伴う作業、自動化により効率や品質にメリットが得られる作業などを対象に、自動化・ロボット化を推進している。とくに耐火被覆作業は、建設現場で苦渋を伴う作業として、将来のロボット化に向けた取り組みを推進している。

 ハイブリッド耐火被覆工法は、2018年9月に「1時間耐火」、2018年11月に「2時間耐火」、2019年2月には「3時間耐火」の国土交通大臣認定を取得。都内で施工中の建築工事では、10本の梁(800×300×16×32、長さ約15m)の耐火被覆作業に試験的に適用した。

耐火実験の様子、ロックウールフェルトの施工状況 出典:鹿島建設

 鹿島建設では、名古屋市中区の「(仮称)鹿島伏見ビル新築工事」で、耐火被覆吹付ロボットをはじめ、各種施工ロボットなど18の新技術の検証を進めている。今後は、開発した耐火被覆吹付ロボットの実証と改良を進め、人とロボットの協働による耐火被覆作業の実現を目指す。

耐火被覆吹付ロボット 出典:鹿島建設

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