パナソニックは、ディープラーニング技術を応用した顔認証技術「入退セキュリティ&オフィス可視化システム(KPAS:ケイパス)」の受注を2019年4月から開始する。KPASの顔認識では、10歳ほどの年齢を重ねた顔の変化やマスク、メガネの装着にも対応。入退室セキュリティの機能だけではなく、個人情報を保護して顔データと名刺データをひもづけることで、社内外の人脈相関図の見える化にも活用できる。
パナソニックは、ディープラーニング技術を応用して顔認証技術の「入退セキュリティ&オフィス可視化システム(KPAS:ケイパス)」を開発した。
KPASは、受付などに設置して来館者の顔登録を行う「レジスター」、エントランスの認証装置「ゲート」、フロアや会議室の入口で入退室をチェックする壁掛け/スタンドタイプの「認証チェッカー」で構成。ディープラーニング技術を用いた顔認証技術のシステムで、入退室管理をはじめ、顔と名刺を連携させて会議室に設置した端末と併用することで、各社員のPCから即座に参加者の顔と名前・訪問履歴などを確認することができる。
さらに情報を蓄積すれば、人脈相関図としてグラフィカルに表示。社員別・組織別で人のつながりの可視化や施設稼働率の分析といった「働き方改革の指標」にも生かせる。
顔登録は最短で15秒、顔認証は1秒以内と、スピーディーな認証で利用者に負担が少ない。顔登録はオプションなども利用すれば、最大で3万人が登録可能で、管理者による一括登録もでき、大規模なオフィスビルへの適用も視野に入れている。
これまで一般的に普及しているICカードによる入退セキュリティシステムは、社員や来訪者の登録・発行・配布に時間とコストが掛かり、カードの貸し借りの成りすまし・コピーによる不正入場、盗難・紛失などのリスクがあった。
KPASは、独自のディープラーニング技術を応用した顔認証技術で、顔特徴の変化に強く、年齢の10年程度までの経年変化、サングラスを含むメガネ、マスク、メークなどの容姿の変化があっても正確に認証する。そのため、メガネやマスクをいちいち外す手間も要らず、両手が荷物でふさがっていても認証されるなど、さまざまな状況に対応する。
取得する顔データは、暗号化して登録され、顔登録や認証時の個人情報データは、レジスター、ゲート、認証チェッカーなど、端末側では即時廃棄される。個人情報は、サーバで管理され、有効期限を設定すれば、自動消去も可能なので、個人情報保護も考慮されている。
また、顔登録時に、名刺情報も関連付けて登録することで、ポータルサイト上では来訪者の顔写真入りの「デジタル名刺」が表示される。このため、顔と名前が一致しないというトラブルが起きない。さらに、入退室で使用した顔情報を用いて、デジタル名刺や組織内の人的ネットワークの見える化に利用することも見込まれる。
今後はオフィスビルを始め、店舗・商業施設、展示場・国際会議場、ホテルなどに展開し、「ストレスフリーで安心のハイ・セキュリティと、快適で効率的な空間実現」の両立を目指す。
システムの提供は、基本システム構成に加えて、ユーザーのオフィス環境に合わせたカスタマイズ提案も行う。「ゲートは、アダプターによる他社製品への組み込みや独自デザインも検討している。既存システムとの連携や今後の拡張性を踏まえ、ラインアップを拡充していく」。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.